短編(PART1)
□梅羊羹
1ページ/1ページ
朝の博多駅上官室。
「山陽。貴様にお土産をやろう。」
顔を合わせた瞬間に、九州新幹線が言えば、
「ありがとうございます。」
と、ほぼ棒読みで礼を言い、律儀に手土産を受け取る山陽新幹線。
(変な物じゃないよな?)
中身を確認しようと、土産物を開けようとすれば、
「中は、羊羹だ。」
と、正体をばらす九州。そして、
「うまいぞ。食べてみろ。」
と、続ける。
(まさか、薬とか入ってないよな・・・?)
不安な顔をしつつ中身を取り出し、六切れになっている羊羹の内、一切れをつまみ、一口食べる山陽。その瞬間甘い羊羹の中に、梅の味が広がる。どうやら、梅羊羹らしい。
「うまい。」
と、言えば、
「そうだろう。」
と、満足の様子で頷く九州。
「なんたって、大宰府で買ってきたからな。」
と、言う。しばらくして、
「うまかった。ごちそう様。」
と、一切れ食べ終わり、山陽が立ち上がる。
「じゃあ、乗車業務があるから。」
と、言い出て行こうとすると、
「山陽。残さず、喰えよ。たたられるからな。」
と、九州が言えば、とたんに、青い顔をして、
「嘘だろ。」
と、言って、その場で固まった山陽だった。
END