短編(PART1)

□綿飴
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 「なんか、まだ、この場所になれないんだよね。」
独り事にしては、大きすぎる声。ここは、新大阪駅の上官室。北陸新幹線として開業してから、3か月たったある日、偶然見つけた古い年期の入った綿飴を作る機械に、割りばしを割らずに、くるくる回している。
 (東京だったら、誰かしらいるのに・・・)
少し、寂しい気持ちがしつつも、ある程度の大きさに出来上がった、綿飴をパクつく。
 「甘くておいしい。」
と、また、大きな声で言った所で、上官室のドアが開いた。入ってきたのは、九州新幹線。
 「お疲れさまです。九州先輩も食べます?」
と、北陸が聞けば、
 「まだ、そんなのが好きなのか?」
と、あきれて聞いた九州。
 「だって、美味しいですもん。」
と、言えば、
 「今度、袋に入った綿飴を買ってやる。」
と、言われてしまった。

END
 

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