盆太鼓(パロ・長・中編)
□大プロローグ
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「善い知らせと、悪い知らせがある」
東京駅上官室、いつもの夕方ミーティング。定時の時刻になった途端、高速鉄道リーダー、東海道新幹線が、部屋にいる同僚達に言う。
「まずは、善い知らせから。今年は、復興の意味も込めて、夏祭りが開催されることになった」
そう言った途端、「オー」と言う歓声と拍手。
「まあ、去年はなぁ・・・」
山陽新幹線が、遠い目をして言えば、
「しょうがないよね」
と、続ける上越新幹線。
「でも、今年は開催されるんでしょう?焼きそばに、フランクフルトに・・・」
食べ物の事になると、途端に目を輝かす秋田新幹線に、
「僕は、綿飴と、かき氷が食べたいです」
と、断言をする長野新幹線。そんな、面々を見つつ、
「んで、悪い知らせって何だべ?」
先を促すように、山形新幹線が東海道に言えば、
「うむ。その祭りで、盆踊りをするのだが、その太鼓を我々がやることになった」
と、言う。それが、どうやら、悪い知らせらしい。その言葉を聞いた途端、全員が固まる。
「えっと・・・誰か出来たっけ?」
しばらくして、上越がみんなの顔を見まわして聞くが、
「俺は、出来ない」
きっぱり言った東北新幹線を皮切りに、
「俺も、やったことない」
「僕も」
と、次々否定の言葉が返ってくる。
「なして、こんな事になったんだべ?」
山形が、東海道に聞くが、
「上から」
の、一言で終わらされ、
「明日から、みんなで練習せねばいけないな」
と、ため息を漏らしつつ、ミーティングを終わらせてしまった。