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□曳太鼓3(山形Ver)
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曳太鼓(山形Ver)

 (やっぱり、倒れたべ)
木陰の近くに東海道を寝かせて、ため息をつく山形。そこへ、
 「大丈夫ですか?山形先輩。東海道先輩は」
東海道の顔を覗き込みながら長野が言う。ここが、終点東京駅に着く前の最後の休憩場所。そんな長野に、
 「大丈夫だべ。暑さと、久しぶりに曳太鼓さ叩いて、はしゃぎすぎたんだべ」
疲れたんだべなと、山形が、少し笑みを浮かべながら言えば、
 「そうですか」
なら、よかったです。と、長野がホッとした顔したところで、
 「長野は、手さ、大丈夫け?」
かなり長時間叩いてるから、痛くねぇーけ?と聞いてやれば、
 「少し痛くなってきました」
と、ちょっと苦笑して答える。そんな、長野の腕をとり、さする山形。
 「や・・・山形先輩?」
驚いて、腕を外そうとする長野に、
 「夜さ、影響でないように」
じっと、しててくんろ。と言い、腕さすりを再開させる。もうそろそろいいべか?と、思った時、
 「出発します」
と、職員が声をかける。その途端、
 「ありがとうございます。山形先輩」
 「ん・・・」
礼を言いつつ、パッと腕を離してしまった長野。そして、そのまま、曳太鼓の山車に乗ってしまう。その姿に、苦笑しつつ辺りを見回せば、山車を中心にたくさんの子供達が集まっている。
 (いつの間に、こんなに集まったんだべか?)
首をかしげてから、ハッとする。確か、曳太鼓は客を呼び寄せる神の太鼓だと。
 「ドンドンカッカッカッ ドドドンカッカッカッ」
つい口ずさんで首をふる。
 (さて、東海道さ起こさねばな)
急いで東海道を抱き起しにかかる山形。ゴールの東京駅はもうすぐだ。

END 

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