いつもの日常(長・中編)
□子供の日
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(今日だけは、この人に呼び出されたくなかったな)
ため息を一つ付き、山陽は新大阪駅の上官室を出る。目指すは、九州博多。
『山陽。貴様、今日は何の日だか、わかっているだろうな?』
九州のメールを貰ってから、約3時間後。山陽は、博多駅にいた。
「よく来たな。山陽」
「はい。あなたに呼び出されたので」
九州の歓迎の言葉を、ほぼ棒読みで答えた山陽。
「なんで、呼び出したかわかるか?」
「はい・・・あの子達のお守りですよね」
「そうだ」
チラッと山陽が見た先には、女の子が3人。
「今日は、『子供の日』だというのに・・・」
残念そうな顔をして言う九州。
「でも、仕事が忙しいしな」
頼んだぞ。山陽。そう言って、その場を離れていく。無言のまま、九州を、見送っていた山陽だったが、はっとして、大声で言う。
「俺も、忙しいよ!!」
「山陽。次は、おままごとやろうよ〜」
「え〜。私は、お人形さん遊びがいい」
「じゃあ、両方やろうよ。いいでしょ?山陽」
次々と、子供達3人に言われ、
「はい」
と、うなだれながら、小さい声で答える山陽。
『じゃあ、次は、これをやろうよ』
1つの遊びが終われば、また次の遊びを持ってくる、『みずほ』『さくら』『つばめ』の三人。限のない、遊びのループに、つき合わされ、もう、無理と、悲鳴を上げそうになるまで子守りをさせられた、山陽だった。
END