いつもの日常(長・中編)
□昭和の日
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『昭和の日』って何で出来たんだろう?前までは『みどりの日』って呼ばれてたし、その前は、確か『天皇誕生日』だったよな。自分の記憶をたどりつつ、そんな事を思って、パソコンで調べていれば、
「貴様。稼ぎ時の初日からサボル気か!!!」
大声で、上官室の扉越しに叫んだ東海道。今日は、ゴールデンweek初日。
「悪い。今行くわ」
苦笑しつつ、そう返事を返し、パソコンを閉じて、席から立ち上がる。
(まあ、俺たちにとっては、『稼ぎ時の初日』の方が、『昭和の日』よりしっくりくるよな)
「山陽。さっきは、何を調べてたのだ?」
怒涛のような、午前中が過ぎ、午後も、夕方近く、新大阪駅上官室で、東海道に聞かれる。
「いや、大した事じゃないんだけど」
どうやら、パソコンで、何かを調べてたのは東海道にばれていたらしい。
「『昭和の日』って何で出来たんだろうなって」
そう続ければ、
「何でそんなのを気にするんだ?」
訳がわからないと首を傾げる東海道。
「だってさ。その時代って、良い事ないだろ?『はと』は廃止されたし、俺も廃線に・・・」
「そんなことない!」
山陽の言葉を遮り強く否定した東海道。
「『新幹線』はこの時代だ」
そう続けられ、
「そうだな。確かに出来たのは、この時代だもんな」
頷く山陽。
「それに、お前が出来て嬉しかったし」
「えっ?今、なんて」
ボソっと東海道がいった言葉に、思わず聞き返してしまった山陽。しかし、
「なんでもない。それより、貴様、この後、『つばめ』と用事があったろう。早く行け!」
「わかりましたよ」
顔を少し、赤くした東海道に怒鳴られてしまい、渋々、上官室を出て行く。
(まあ、過去に、浸っててもしょうがないしな)
それに、この時代があったからこそ、今の自分もあるのだから。
END