散りゆく運命
□信じるということ
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あれから歩くこと数十分…
「着きましたよ」
門の前で立ち止まる
「会津藩お預かり、壬生浪士組屯所?」
「そうですけど、どうかしましたか?」
いや、ありえない そんなことがあるはず無い
この人達が新撰組の前衛部隊で此処が150年前の京だなんて…
雪音が考え込んでいる事などお構いなしに、手首を掴んでいる男は屯所内に入ろうとする
雪音も考えるのを一時中断して男に従う
屯所に入ると、なんとも殺風景な部屋に通された
「とりあえず此処で待っていて下さい
僕は土方さんに報告してくるので、君は大人しく待っていて下さいね」
にっこりと、またあの笑みで言われ
男はスタスタと何処かへ行ってしまった
雪音は先程中断した考えをもう一度整理してみることにした
着物、刀、古い町並み、助けたお嬢さんが此処は京だと言っていたこと、そして今自分がいる壬生浪士組の屯所、男がさっき口走っていた"土方"という名………
これまで見てきた事を合わせると、映画村…ではないのかもしれない
此処へ来てから、出逢う人は皆演技をしているようには見えない
自分の今という人生を一生懸命生きている
やはり門の前で考えたように此処は150年前の京なのだろうか…?
胸騒ぎがしてならない──