氷空のフラグメント

□プロローグ
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――泣いている女の姿が見える。
美しい顔を悲嘆に染め、女は声を殺して泣いている。

そんな彼女を見て、誰もが言う。
最強のアクエリア使いと。仲間を見捨てた裏切者と。
何一つとして真実を知らない人間達が、彼女を称えて嘲笑う。
彼女が"強くなど無かった"事にすら気付きもせず。

一人目は最期を看取った。
二人目は目の前で死んだ。
三人目は自分をかばった。
四人目は生きろと言った。
五人目を、自分が殺した。

生き残ったのはただ一人。
心と体を切り離して戦えたが故に、最期まで生き残った。

敵を滅した救世主、全てを見捨てた裏切者。


――どちらもあってはいないというのに。
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