牙狼が、終わった。悲しすぎる。カオルちゃんとの仲が、進展しないまま、終わった。いや、あれを進展したといえるのか?深夜枠なのに、どうかすると、某ライダーのほうがもっといちゃいちゃしとるぞ。アクセルは結婚したしな。
で、いつまでも待ってるだけのカオルちゃんではかわいそうなので、こんな妄想してみました。
純粋なカオルちゃんをお望みの方、許してください。おこらないでね。







*****  薫君 ****


珍しく時間が空いたらしい鋼牙から、連絡が入ったわたしは、すごくうれしくて、待ち合わせの1時間も前に約束の公園に来ていた。

亜佐美に言わせると 男は待たせるくらいが丁度いいのよ。らしいが、鋼牙からの誘いなんて、1年に一度あるかないかなんだから 今回は妥協しておこう。

1時間も時間があるから、スケッチでもとノートを取り出そうとした、目の端に見覚えのある後姿。


・・・・あ・・・

振り返ったその人は、わたしの姿を見つけると少し驚いて、そして、ふんわりと笑った。


「せん・・・せ」

私が、大好きだったあの笑顔。

まるで、高校生に時間が戻った気がした。


あの高校二年の秋、放課後の美術室。

夕日がやけにきれいで・・・・

花壇で、秋桜が、揺れていた。
 


石段に腰掛けて久々の再開に喜んだ。

「元気そうだね。君の活躍は、よく知ってるよ。」

「先生こそ、お元気そうですね。」

「ああ」

昔と変わらない笑顔で私を見てくれる。

「でも、よかった。君が絵をやめていなくて。ちょっと 心配してたんだ。」

「本当は、辞めるつもりでした。でもやっぱりやめられなくて・・・」

絵を続けるように、援助してくれた人は、メシアの復活の生け贄にするためだったし、もっと お前の絵を見たいといった人は ホラーのえさにするためだったし、よくまあ続けてこれたものだ。

ちょっとおかしくて くすくす笑ってしまった。

「なに?」

「いえ、ちょっと あの頃の私は、本当に何にも知らない お嬢ちゃんだったんだなあ、と思って。」

ただ、自分の気持ちを押し付けていた。

「でも、そんな君が、僕にはとてもまぶしかったよ。」

あの頃大好きだった笑顔。相変わらずだ。

「でもね、私は、ちっとも後悔してませんよ。あの頃のこと。」

きっと私には必要だったこと。

「そうか、・・・・僕はずっと後悔していたよ。君を選ばなかったこと。でも 今では、あの選択は、間違いじゃなかったと思う。」

あはは と先生は、笑う。

私も、うふふと笑った。

さてと、というと先生は、立ち上がってズボンの お尻をたたいた。

「君、誰かと待ち合わせだろ? もしかして 彼?」

先生の指した先には、遠目でもはっきりわかる鋼牙の白いロングコート」

「どうしてわかったんですか。」

「君の作品を見たことがある。君 彼のこと描いていただろ?」

そして いたずらっぽく笑うと 片目をつぶって見せた。

「憎たらしいくらい いい男で、ちょっとむかついたけど。」

「やだあ〜」

「あ、そうだ。僕は今 友禅の絵師をやってるんだけど、これ 着物の展示即売会の招待状。僕の描いた着物の展示もしてある。見にくるといい。実はこれでもちょっとは有名なんだ。」

じゃあ、と 軽く手を上げて歩き出す。

一度も振り返らずに、歩いていく後姿に、あたしは、思わず 叫んでいた。

「せんせーっ! 今 幸せですかあ〜っ!」

「ああっ! 君はー!」

「はいっ! しーあーわーせーでーす。」

さよなら 先生

さよなら私の初めて愛した人。

満足そうに笑った先生は、もう一度も振り返らなかった。

『だれだ、あれは』

「高校時代の恩師よ。美術の先生。」
 
いつの間にやらきていた鋼牙の指にはまった指輪がしゃべる。

何で鋼牙じゃなくてザルバが聞くのよ。

『へー、先生に幸せかなんて聞くのか?』

だからなんであんたが聞くの?

「ま、そういうこともあるのよ。で、鋼牙どこ行くの? あたし海に行きたいなあ」

あいかわらず 無表情の鋼牙の腕にぶら下がるようにして言う。

「そういえば、先生が あたしの描いた鋼牙を見て、憎たらしいくらいの いい男だっていってたよ。」

「そうか・・・」

返事はそっけなかったけどちょっと照れてるのがわかった。



先生、あたしは幸せだよ。命を懸けて守ってくれる、憎たらしくて無愛想な男(ひと)がいてくれるから。




***** 完 ******





エー、 ホントは 鋼牙編もあるのですが、 最後がどうも決まらなくて 時間がかかりそうです。たぶん違う話から書くのでは、と思われます。

本文中 カオルちゃんの私、とあたし、時間の経過を表しています。昔は私、といってたんだと思ってください。

鋼牙を好きなのは あ・た・し です。

ご覧くださった方ありがとうございます。

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