□RIDE3
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学校の玄関前で二人は待っていた。




「遅かったから帰ったと思ったぜ…。」

「何があった?」

「大したことではない。」




三人はカードキャピタルへと向かった。

もちろん、櫂とノチェは手を繋いでいた。

それはノチェが逃げないようにする為のものであり、
熱にやられて違う方向に行かないようにする為だった。





「他人からしたらカップルに見えるけど…二人に恋人は…。」




三和は想像してブルッと体を震わせた。





「考えるのはやめておこう…。」




想像するのは恐ろしかった。

というより考えられない。




「何を一人で喋っている?」

「いや、なんでもねぇ。」

「カップルがどうだがとか言っていたが?」

「(地獄耳!!)」

「「それでどうなんだ?」」

「すいませんでした!!」

「フン。」

「ハァ。」

「(ひでぇ…。)」




そんなこんなで店の前に来た。

店の前まで来て櫂はノチェを見る。




「来いと言ったが熱がある。無理はしなくてもいい。帰るか?」

「いや、見るだけなら大丈夫さ。」

「……三和…。」

「わかってるって!(こえー…。)」




中に入ると大会ということもあってか人がたくさんいた。

一瞬動揺したノチェだがすぐにいつもを取り戻した。

櫂がそれを見逃すはずがなく、繋いでいた手をより強く握って人の間を通って行った。




「えーとそこの子は大丈夫なんですか?」

「「問題ない。」」

「そ、そうですか;それでは全員揃ったようなので…これより!
カードキャピタル・ショップ大会を開催します!」




店内に歓声が響き渡る。

ノチェは迷惑そうな顔をしている。




「この大会は出場者16名によるトーナメント方式で、
最終的に勝ち残った者が優勝となります。なお当然の事ですが、
プレイヤーは観客からアドバイスを貰ってはいけません!
審判は私が勤めます、ヴァンガードファイトの基本ルールに従って下さい。
気をつけてくださいね。ここまでで質問のある人は?」

「はい!」



森川カツミ、先導アイチの同級生が手を上げた。




「宣誓!」

「あ、あの…ちょっと、」

「この俺、後江中最強のファイター森川カツミは、ここに優勝を誓います!」

「はぁ?」

「戦う前から結果は見えているが、俺は心が広い!
君達にもチャンスをあげようじゃないか、」

「よこせ!エミさん!そこの無愛想な奴の隣に座ってるお姉さん!」

「(無愛想?)」

「(櫂のことだな…。)」




櫂は無言で葛木カムイを睨む。

微かに殺気が放たれている。

それを横で感じている三和は冷や汗をかいていた。





「貴方達の為に優勝します!優勝したらその…俺と!つ…つつき、つき!
で、でも!けけ、けこ……けっこ…け…///」

「何が言いたいんだ?」

「(付き合う飛ばして結婚言ったな…。いや、言えてねーか。)」

「(懲りていないようだな。)」




三和の冷や汗はまだ止まらなかった。




「…ああいう奴こそ、失格にしなさいよ。」

「い、いや…元気があって良いかと…あーあー、予選はトーナメント形式で行います。
出場者を4ブロックに分け、勝ち進んだ4名画トーナメントブロックに進みます。
それでは、トーナメントの組み合わせを発表します!」




店長代理の猫が“D”と書かれた紙を剥がす。

そこには櫂と書かれていた。

櫂トシキはDブロックの選手。




「櫂ってあんな字なんだ…。へ、難しい漢字だからって偉いと思うなよ。」

「何故Dブロックからんですか、店長代理!?
はぁ…店長。残りもお願いします…。」





店長代理が残りの紙を剥がす。

カムイはCブロック。

戸倉ミサキはBブロック。

アイチはAブロック。





「決勝では葛城カムイか先導アイチと当たる確率が高い。
準決勝は戸倉ミサキ、この店の店長新田シンの姪か。始めたばかりだが実力あり。
大した奴はいない。この大会ははずれだ。」

「何故分かる?」

「お前も知ってるだろう?この能力だ。精神科の医者によると異端だそうだ。
脳への大きな負荷によるもので、脳への負荷を減少させる為に
もう一つの脳と代わりとなるものを作り出したということらしい。
セカンドブレイン、SB異端現象と名づけられた。私はコイツが元凶だと思うが。」




手には一枚のカード。

何のユニットが描かれているかはわからないが櫂はゼウスだと確信した。




「簡単な理屈では説明しきれない能力とでも言った方が近いだろう。」

「…いつか、話してくれるか?」

「……さぁな。そのときには私はもう表の世界にはいないさ。
いたとしても、お前が聞けばそこで終いだ。安心しろ。
お前達に危害はない。関係ないのだから。」

「…俺がお前と戦った意味は2つある。」




ノチェは怪訝な顔で櫂を見る。

何故その話が出てくる。

どういうことだ、と。




「一つはお前も気づいているだろうがその力の正体を知る為だ。
もう一つは俺とお前を繋ぐ為だ。ファイトをすれば無関係ではなくなる。」

「そんな理屈が通ると本気で思っているのか?」

「俺が被害者というカテゴリに分類され、お前は加害者となった。
だから、俺は様子見も含めて負けなければならなかった。」

「なるほどな。それで私とお前のラインを完成させたのか。
幼馴染、という曖昧な細いラインではなく被害者を加えることで完全にしたと?
だが、それでもまだだ。あくまでそれは仮定だ。確定ではない。」

「個人的感情を加えた。」

「……さらに薄くなるぞ。」

「俺の感情とお前のあの時の感情を入力すれば確定だ。」




あの時、ノチェが取り乱した時だ。




「覚えているとはな。」

「当たり前だ。」

「確定したところでお前に何ができる。私はなんでもやったぞ。」

「必ずやってみせる。お前一人じゃ限界がある。」
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