罪
□RIDE2
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ノチェは家の一室にいた。
今は昼の12:00。
本来は学校にいなければならない。
だが、ここにいた。
先日のことを悔やんでいるのだ。
無理にでもファイトをやめていれば。
逃げていれば。
何かが変わっていた。
傷つかなくてもいい人が傷ついた。
それだけで押しつぶされそうなほど弱々しかった。
今の彼女はヴァンガードファイターでもなんでもない。
ただの少女だ。
「KZGクオリア、か。カードの声を聞き、与えられたダメージと
同じダメージをファイターに与える。相手が負けた場合、絶望を見せる。
精神的にも、身体的にも。…本当にふざけている。」
おかげで傷つけてしまった、と彼女は呟く。
彼女のデッキ、セントラルエンジェルはオラクルシンクタンクに似ている。
だが、根本的な意味では違う。
オラクルシンクタンクにもエンジェルはいるがそれは本来のエンジェルではない。
純粋な天使ではないということだ。
つまりセントラルエンジェルは純粋な天使。
どのデッキよりも強く、救いを与えるという意味を持つ。
「何が天使だ、救いだ。何も救えていない。傷つけてばかりではないか。」
彼女にあるのは闇。
孤独。
絶望。
こんなことになるなら生まれてこなければよかった。
あの二人に会わなければよかった。
そうすれば、傷つく人もいなかったし、自分も普通の暮らしができた。
ノチェは泣いていた。
その様子は幼い少女のようだった。