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□君の世界を俺にも分けて
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その時、俺が浮かれていたのは確かだ。
今日は訓練が午前中で終わる、だから午後からは小紅に会えるかな、なんてことを考えていた。
訓練は男女別で行われているため、訓練がある日は小紅に会うことはできないからだ。
もちろん、訓練に身を入れていなかったわけじゃない。
ただ、最近は何も起こらなかったし、少し平和ボケしていたんだと思う。
そんな俺の思考は、別の訓練場で訓練を行っているはずの、ある女子からの一言でかき消された。
「ねぇ!訓練中止して!!助けて!!!」
…なんだろう。俺は泣き崩れている彼女に対応している男子たちを見た。
そんな大変なことがあったのだろうか、何か嫌な予感がする……。
俺が妙な胸騒ぎを感じていると、対応していた男子の一人(確か司令塔の役割の奴だった気がする)が俺達に焦ったように告げた。
「おい、お前らよく聞け!
白軍が女子の訓練場に攻めてきたそうだ!
向こうは多勢らしい。
全員で助けに行きたいがここをもぬけの殻にして占領されては敵わん!
今回は俺達3年のみで行くことにする。つーわけで3年はついて来い!」
…女子のみを狙った虐殺作戦ってところか。タチの悪い……。
小紅は、小紅は無事だろうか。
もちろん俺には女子の知り合いも沢山いるから、小紅だけじゃなく、他の人の安否も気になる……が、やはり一番最初に浮かんだのは小紅のことだった。
(小紅……どうか、無事で……!)
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