小説

□修史さんの割と忙しい日々
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火傷しそうに熱い風呂場で茹で蛸の良守を助けようとしているうちに繁守を伴い利守が起きてきた。

「お父さん良兄は?」

あれだけの熱量があった風呂場がフリーザーのようになり良守にも触れられない!…違う、結界が張られている。


僕に触って欲しくないの?

「修史さん!こやつはワシに任せて離れていなさい!」
お義父さん良守を助けて下さい!!

しかし風呂場から一切動かす事が出来ない!

「おじいちゃん用の結界だよ…お父さんが駄目なら僕が調べてみる…」
「危ないよ!利守…そうだ…お義父さん斑尾は?」
「…戻っておらん」

それがどういう意味かまだ混乱して解らなかった。




同時刻、良守をプールから引き上げずぶ濡れの志々尾はあくまでタオルで拭き取るだけ、エアコンを ありったけ温風にして体を乾かしていた。

暖かいのに風が熱を奪っていく。

ゾクゾクと悪寒が背中を走る、遠い故郷を離れて以来、体質からか病気らしいものとは無縁だったが、何の兆候も出なかった幼い日寒空に逆さ吊りにされて寝込んだ時、優しかった姉が濡れたタオルを何度も取り替えてくれたのが脳裏によぎり自己嫌悪に落ちていく
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