小説

□逆転兄弟!
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 朝、良守の胸を舐る正守で目覚める。

ふよふよとした感触、心地良い温もりを 帯びた重みが、まるで腹の上で眠る猫のような安堵感を伴う癒やしに感じる筈が。
ろくに力の籠もらないその手で。
ろくに物も摘めないその指で。
ずっと乳児がおっぱいを飲もうとするように、長男の胸を弄っていた。

はだけた寝間着を布団のように被り、より深い所に潜り込んでいく。


生傷だらけの肌をわざわざ撫で回して。

「起きろ良守」


下腹部にでんと座って下着の中身を起こそうとしている(!)
「何やってんだコラーー!!」


入り口の所でタイミングを逃した父が、行き場をなくした手を振りオロオロしていた。


いつもは裏会の夜行に預けてある正守が昨日戻って来て、今日の朝飯は俺の膝の上で食ってる。


何でオヤジじゃないんだよ!

何で利守とか先に振ってくれねーの?

良守と食べるって外ヅラのイイ顔で笑って言うの?


どうして見えない位置からいらん所をさすってくるんだよお前は!


オヤジか!?


つーか産まれてこの方呼び捨てしかされてねーし。


こいつが来ると俺の所だけ狭いんだよ!

脚だって痺れるし、痺れた所触りに来るし!


俺は烏森の結界師22代目継承者で長男で、いずれは当主の筈なのに、末っ子にしてやられる俺って一体…


話は遡ってコイツが結界術のケの字も知らない頃。

 結構得意げになって利守と術を競っている姿を眺めていたのは覚えている。


利守は何て言うか、圧倒的にパワーとスタミナが足りてないんだが、使い方のセンスがいいんだ。

確実に急所だけ狙って妖を仕留める、俺の馬鹿でかい結界の周りに連鎖的に閉じ込めて、滅却したら一気に消える。

ちゃんと大きくなったら術もどんどん巧くなるって!

デッカい結界作れるようになるからな!
年の近い俺達は自信のなさげな弟をしょっちゅう烏森に連れ込み妖を退治した。

今では俺のいない時でも十分任せておける信頼を寄せている。


それに利守は、あの解んねー巻物をサラサラ読むし。
 俺が解りやすいような解説をしてくれる。

利守が居なかったら今の俺はなかった。
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