キリ番
□環様へ!
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俺は…。
ずっと兄貴だけの玩具じゃないし、そんな俺で居たくねぇ。
ガキを見る目で可愛いって言われたくねぇし、ずっと認められてねぇ俺を何時までも都合良く弄ばれていたくねぇ。
まだ何か足りないんだよ、あんたが俺を思っているよりずっと俺はあんた自身を求めてんだよ。
兄貴の後ろをずっとついていって、どんなに泣いても何にもしてくれなくて、心細くってまた泣いても、スカした笑い方した兄貴の顔だけが何時まで経っても消えなかった。
いつしか俺が甘えるのを見透かしてニヤニヤする兄貴が我慢出来なくなってさ。
俺が欲しい正守じゃねーって思って、初めてあんたの手を掴むのを止めた。
何でもない顔をされてるのが悔しくってだんだんあんたが憎たらしくなったよな。
怒りにまかせ振り上げた手を絡め捕らえて、俺が大嫌いな笑顔で兄貴の舌が俺の食いしばった唇をこじ開け貪るまで秒読みで、それすら気持ちいいと言う事を覚えてからも、ずっと飴玉をくわえさせる代用品じゃないかって思っていたりして。
…あの頃どう呼ばれていたら本当は良かったのかな。
ただの兄弟だけの関係じゃなくって、兄貴の恋人扱いで、おままごとみたいに甘い言葉で付き合った時間の全ては否定しないけど。
それだけじゃ満足出来なくなって嫌な口を叩いたっけ。
あの日以来。
中途半端に火を付けた兄貴が深く奥に残した熱は、兄貴が出ていった後にじわじわ俺の中を蝕み…翌朝俺を悩ませる淫夢として兄貴の姿で現れた。
浅い眠りに目を覚まし、見知らぬ情事に浮き出た汗が、酷く体の熱を奪って、べたつく体液に情けなくなって、後で顔を合わせる時音の綺麗な顔を見るのが辛い。