頂き物

□水矢様から頂きました!
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《捕まれた意志》



畳の部屋畳のにおいい。
窓から見える庭園。

ただ似つかわしくないのは堅く閉ざされた鉄格子、そして俺の首に巻き付いている鎖付きの首輪。


気がついたらこんなことになっていた。

何でこんな事になったんだ。
あんたは何がしたいんだよ。

俺を憎いと思ってんだろ?だったら殺せよ!


嫌だし殺さない。

お前は一生俺の物。

俺は鳥森で仕事をしていた。

ただ何時もと違うのは兄貴が帰って来たこと。

そして兄貴が何時もと違うような感じがしたこと。

表情か?いや違う。

分からない。何なんだ、そしてその違和感は現実と変化していく。


「俺の物になってくれない?」
「何訳わかんねー事言っ…」

兄貴の目は本気だった。何だよ俺を兄貴のものって。

「よくわかんねーけど。俺は兄貴のものにはなれない」


本当の事を答えてやった。多分これでいいんだよな。


「そう返ってくると思ったよ。」

兄貴は不思議な笑みをこぼしながら一歩一歩と近付いてくる。

頭の中で警戒音が鳴り響いている。

『逃げろ』って。


そう思った瞬間意識は途絶えた。

で。今この状態。


後頭部を強打したのだろう。

多分兄貴の結界でだ。


そして兄貴はいったいこんな事までして何をしたいんだ。


「目覚めたんだな。」

「兄貴」

部屋に響く声はこれから起こる不幸への予兆に過ぎない事を俺は知らない。
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