頂き物
□飛沫様にリクエスト!
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《うんどうかい2》
「墨村。次借り物競争だぜ」
「おう。」
今日は運動会、数多くの家族が見守る中で、正守は借り物競争に出る。
その準備の為にゲートの前に立っていると、クラスメイトが声を掛ける。
「墨村。今日は最愛の弟は来ているのか?」
「……………ああ(何で知ってる)」
誰にも話してないと思っていたが、何故知れているのか正守には分かっていなかった。
「そうか、今日はどんな服着ているのかな?」
「………何で知っているんだ?」
「え?だって有名だぜ。お前ら兄弟。ラブラブ兄弟だって」
「!!!!!!な……」
「何だ知らなかったのか?町内会の奥様たちのアイドルだぜ。特に弟が」
知ってはいた良守が町内会のアイドルになっているのは知っていた。
だけど、そこで何故ラブラブ兄弟になる?
外ではラブラブなんてしていないのに…
はっ。もしかして無自覚のまま良守とラブラブを……
青い表情をしている正守に、クラスメイトは言う。
「いいよな…可愛い弟がいて」「やらないよ!!」
即答する正守にクラスメイトは苦笑いをする。
「知ってるよ。」
学校では見せない正守の一面を見て嬉しそうに笑う。
「お前も人並みなんだな」
不思議そうにクラスメイトを見る正守に、クラスメイトは言う。
「どこか人と馴染めていないって言うか本心を隠している様な気がして本当は墨村が苦手だったんだけど、弟の話をしている時のお前………いい顔しているぜ」
暗闇に捕らわれそうになる時、必ず良守が現れて引き戻してくれる。
良守がいるから自分はここにいられる。
だから決して良守を放してはいけない。
「ふっ…オレも……そう思うよ」
正守の綺麗な笑みを見て、クラスメイトも一緒になって笑う。
お互い笑いあっていると、音楽が変わる。
「おっ出番だな」
そう言って立ち上がったクラスメイトを見て正守も立ち上がる。
「なぁ。お互い一位取らないか?」
「いいぜ」
クラスメイトの同意した正守は、ニコリと笑って競争に出る。