小説

□微睡少年
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「兄貴は何が食べたい?」

「良守の作った物なら何でもいいよー?」

「…そう言うのすげー困るんですけど!」

「チョコケーキ、亜十羅が旨いって言ってたから」

…俺ケーキだけじゃなくて他にも色々作れるんだけど?…

「…後はお前が食えりゃ俺は幸せ。」

簡単に言うなよ!…その物言いが気に食わねーっつの!

「やっぱ今のなし!」

「…えー!?何で!」

何時でも俺が兄貴と寝てるみたいじゃん!そんなに軽いもんだったの?

「知らねー!」


寝る!ふて寝だろーが何だろーが仕事の時間までぜってー起きねー!!


…割と良守が機嫌よくしていたから大丈夫かな?と思っていたのに。

「無理やり襲った方が良かったな?」

目の下の隈を見つめながら、ものの5分も経たない内に眠りこけてしまった弟の傍で髪を弄び、漏れる吐息を塞がないようにキスをして、呼吸に合わせて上下する胸にゆっくりと舌を這わせた。


感じるのかくすぐったいのか身をくねらせて身じろぎする良守、眠った猫に耳をつついて悪戯するようで妙に楽しい…まだ起きない。

「…何処まで出来るんだ?」

少しずつ舐める行為を激しくしていくが、まだ起きない…時時折寝ぼけた声でうにゃうにゃ洩らすと手探りで布団を掴んで潜ろうとする。


当然布団を引き離して何も掴めないようにしてやると、やっぱり途中で縮こまって眠りに入っても…やっぱり起きない。

季節は暖かく、陽の当たる部屋に少しだけ開いた窓から心地良い風が緩やかに吹き込み、優しく肌をなぜる。

だらしない寝顔にだんだん笑いが込み上げて来て忍び笑いが口から漏れる…毒気が抜けていくな…これはこれで楽しくはあるんだが…


微睡み潤んだ薄目を開けてぼんやり振り向く良守に、そっと布団をかけ直し、再び寝ようとする良守に眠りを邪魔する悪戯を繰り返す。


まるで催眠にでも掛かったように揺れる瞳を向ける良守、拒絶の呻きを漏らしても止めない、力なく抵抗も出来ず抱いてもなすがまま。


…このまま事に及んでも起きないかも知れない…
 

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