俺たちは走り続ける
□勝敗指示
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<松風天馬視点>
朝起きて、サスケの散歩から帰ると、すでに涼さんは木枯らし荘を出た後だった。
「俺も急がなきゃ!」
あわてて支度をして木枯らし荘を飛び出ると、雷門に向かって走り出した。
昨日は初めて部活に参加して、先輩たちのスピードに全然着いていけなかった。
だからこそ、今日は昨日より早く動けるようにもっともっと頑張るぞ!
校門のところで信助を見つけた。
「おーい信助!おっはよー!!」
駆け寄って声をかける。
「天馬!おはよ!」
俺たちはサッカーの話をしながら、サッカー棟へと走った。
「よーし、今日も一番乗りだ!」
言いながら部室への自動扉を開くと、すでに先輩たちと音無先生、それに久遠監督まで揃っていた。
「おはよう……ございます」
大きな声であいさつしようとしたが、なんとなく先輩たちの表情が暗い。
「どうかしたんですか?」
俺の問いに、神童キャプテンが答えてくれた。
「栄都学園との練習試合が決まった」
「栄都、学園…」
聞いたことの無い学校だ。
「それって、最近力つけてきたって評判の学校ですよね!」
どうやら信助は知っているようだ。
「そうなの?」
「うん!元々は進学校で有名だったんだけど、最近はサッカーも強くなってきたって」
「栄都学園か。先輩、頑張ってください!一生懸命応援しますから!」
「応援しますって、あなたたちも出るのよ?」
近くにいた音無先生が、俺を振り返って言った。
「えっ、俺たちも?!」
あまりにも突然のことで、聞き返してしまう。
「じゃないと人数が足りないでしょ?」
「あっ、そっか」
試合に出るんだ、俺が!雷門の選手として!
「よろしくお願いします!俺、頑張りますから!絶対勝ちましょうね!!」
試合かぁ、楽しみだなぁ!
そうと決まれば、やっぱり気合入れて練習しなきゃ!
俺はこのとき、試合と聞いて興奮していて気付かなかったんだ。
先輩たちの表情がどんどん暗くなっていることに。