俺たちは走り続ける

□それぞれの選択
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「神原くん!これってどこにあったやつだっけ?」
『あぁ、それはそっちの棚の二段目だったはず…』

俺が片づけを始めてからしばらくして、部員たちが旧部室の周りに集まりだした。

と言っても、狭い部室だ。
実際に片づけをしているのは俺をはじめとするマネジがほとんど。

『ちょっと待った。危ないから俺が上げるよ。そこに置いといて』
「ごめんありがとー」
「ちゅーか、神原届くのー?」
『うるせー届くっての! 邪魔すんなら外出てろ』

他の奴らは、適当にその辺にかたまって話し込んでいた。
そのほとんどの奴の表情は暗く、これからミーティングが開かれるであろうことを
予想しているのはやはり、俺だけではないようだった。

「神原くん!霧野くんが来ましたよ」
『あぁ、ありがと速水。すぐ行く!』



「後片付けの方はどうだ?」
『あぁ、もう終わる』

並外れた威力だったとはいえ、サッカーボールが当たっただけだ。
後片付けと言っても衝撃で落ちた物を元あった場所に戻すくらいのこと。
曲がってしまったドアはどうにもならないが、大勢でやればすぐに終わる作業だった。

「そうか、よかった」
『で、神童は起きたんだろ? 何て?』

霧野が保健室を離れてここに来たということはつまり、そういうこと。

俺たちの周りにはすでに、ファーストセカンド関係なく、サッカー部員が集まっていた。

名簿で確認したわけではないが、おそらく全員いるだろう。


周りの部員を一度見渡してから再度俺を見て、霧野は言った。

「すぐ集まってくれ。キャプテンからの緊急召集だ」



すぐに、サッカー部部室に部員全員が集まった。
皆の表情は一様に暗い。

今まで我慢して、保留してきた答えをついに出すときが来たんだ。


つまり、このままサッカーを続けるか、どうかを。


『神童、マネジはマネジで話したいんだけど…いいか?』
「あぁ、もちろん」

サッカー部マネージャーは、俺を入れて6人。
俺以外は全員女子だった。

『あー…じゃあ、となり使わせてもらうわ』
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