俺たちは走り続ける
□新しいクラス、新しい始まり
3ページ/5ページ
「そうそうそーですよ!いると思わなかったって言えば!」
「ああ!化身な!」
速水の言葉に、浜野が答える。
「本当にいたんだな、化身使い」
倉間も感慨深そうに言う。
「ちゅーか、マジかっこよくね!化身!」
興奮気味の浜野に対して、速水は不安げに言った。
「でも、神童君大丈夫でしょうか…」
『…あのときの神童、何か変だったよな』
俺の言葉に、他の3人も表情を曇らせる。
あのとき……神童が化身を出したときだ。
神童が化身を出したのも初めてだったが、それ以上に。
「…すっげぇ怖い顔してたよな、神童」
ボソッと言ったのは倉間だったが、俺達全員同じことを考えていたらしい。
「一年のこと、突き飛ばしてたしなー」
「どけぇっなんて叫んでる神童君初めて見ましたよ」
『あぁ…』
途端に、空気が重くなる。
話題をミスったななどと考えていると、
「ちゅーかさ、あの一年は?…松本、だっけ?何者な訳?」
浜野が俺を振り向いて言った。
「そういえば。神原くんの知り合いなんですか?」
『あ、あぁ…あいつな。俺と同じ下宿先に引っ越してきたんだ。松風天馬ってーの』
「へぇ…」
と相づちを打ったのは浜野だけだったが、
それぞれ松風に対して思うところがあるんだろう。
ちょっとした沈黙が俺達を包んだ。