俺たちは走り続ける
□新しいクラス、新しい始まり
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「にしても、驚きましたよ」
俺達2年は部室から校舎へと移動していた。
「新学期早々いきなり試合なんて…」
前を歩く速水が、震えた声で言った。
「ちゅーか、驚いたのはそこじゃないっしょ」
後頭部で腕を組みながら歩く浜野が、速水のとなりで笑う。
「あいつら…いきなり来て、雷門サッカー部はお払い箱だなんて
ふざけんじゃねーよ!」
俺のとなりで怒りを露にしながら倉間も言った。
「それにしても、何でいきなり試合を放棄してしまったんでしょう?」
向こうの勝ちは見えてたのに、と速水は小さく付け加えた。
そうなのだ。
神童が化身を出した後、相手チームの監督が突如試合を放棄してしまった。
『きっと、神童の化身のお陰だろうな』
「どういうこと?」
浜野が俺を振り向く。
『……まだ利用価値があったって…ことだろ?』
「利用価値、か…」
隣の倉間がそう呟く。
相手の、得体の知れなさが俺達の不安を煽る。
「ちゅーか、あいつら何てったっけ?フイフスセクターの…?」
『シード。フィフスセクター直属の、サッカーエリート集団・シード。
サッカーにおける完全なる英才教育を受けてるとかって話だ。
まさか本当にいるとは思わなかったけどな』