俺たちは走り続ける

□これが化身だ!C
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立ち上がれずにいる松風は、苦しそうにしながらも懸命に神童に言った。

「俺、やりたいんです……皆と一緒に、サッカーを…!」

「お前…そこまで!」

「お願いです、キャプテン…!」


辛そうに神童に向き直ると、松風は神童のユニフォームをつかんだ。


「サッカー、諦めないでください…!」

「…っ!! 松風…」


「キャプテン…!お願いします!!」


そう、懸命に言う松風。


不意に、神童が松風の腕をつかんだ。
そのまま、ユニフォームを離させて立ち上がる。


『神童…』


立ち上がった神童は――泣いていた。




「……俺だって…!」

その呟きの続きは言葉にならなかった。
その代わりキッと剣城を睨む。

「なんで…なんでだよ!俺は、チームメイトさえも守れない…!」


神童の涙は止まらない。
今まで我慢していた分なんだろう。

「何がキャプテンだ!こんなもの…!!」

キャプテンマークをつかむ神童の周りを、不意に風が駆け抜けた。


「キャプテン…?」『神童…?』

俺と松風の声が重なる。神童の様子が変だ。


「ちくしょおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」



今まで聞いたことの無い神童の叫び声に呼応するように
神童の周りにエネルギーが集まり出す。

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

『まさか!』

流石に俺も立ち上がる。


「何っ?!」

「これは!!」

剣城も相手チームの監督も、雷門のみんなだって驚いていた。


神童が、化身を呼び出した。

だが、尚も狂ったように叫び続ける神童の目は焦点が定まっておらず、

『神童…!』

その剣幕は、俺達でさえ恐怖を覚えるほどだった。
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