俺たちは走り続ける

□これが化身だ!C
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「天馬くん!!」

地面にたたきつけられた天馬を、愉快そうに振り返る剣城を見て、

音無先生も黙ってはいられない。


「久遠監督!こんなのサッカーじゃありません…やめさせてください!!」

「駄目です」


音無先生の抗議を突っぱねたのは、相手チームの監督だった。

立ち上がっていた彼は静かに言った。
「まだ試合は終わっていません」


吹き飛ばされた松風に、すぐ神童が駆け寄る。
試合中断をするつもりだろうか、隣の久遠監督が立ち上がった。

「監督…」


だが松風は、辛そうに起き上がりながら言った。


「お、俺は大丈夫です…最後までやらせてください」

『松風…』

「無茶だ、壊れてしまうぞ!」


そう叫ぶ神童に、立ち上がった松風は叫び返す。


「最後まで、戦いたいんです!」

そう言い放った松風はゆるぎない瞳、表情をしていた。


「最後まで……最後までやり抜けば、きっと道は見えてくる!!」


その、眩しいばかりの情熱に、俺達は目を細めずにはいられない。


やれるものなら、もう一度楽しいサッカーがしたい。
取り戻せるものなら、取り戻したい。

みんな、もう諦めてる。
心なんかとっくに荒んでる。

それでもサッカーに縋りついて、求め続ける。

サッカーが好きだからこそ、腹が立つ。
でもサッカーが好きだからこそ、離れられない。

その、「サッカーが好き」というその気持ちを守るために、


あいつ等は、“ただ従う”以外の選択肢を見つけられなかったから。



松風が向き合った向こう側には、すでにシュート体勢の剣城。

「食らえ!」

彼の渾身の一撃に化身の力が合わさったそのシュートは、松風めがけて飛んで行き
みごとにクリーンヒットし松風を再び吹き飛ばした。

「松風!」

すぐさま駆け寄った神童が助け起こす。

「無茶な事を!」


「ここまでか」

それを見た剣城は不敵に笑った。

強すぎる…!

化身なんて初めて見たが、とんでもない力だな…。
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