俺たちは走り続ける
□これが化身だ!B
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どうしようもないのか?
ううん、絶対になんとかなるはずだ!
大好きなサッカーを、こんなやつらに取られたくない!
「もうダメだ。あいつら俺たちに怪我させてでもサッカー部奪う気だ…悪いけど、俺……」
「…え?」
「待てよ水森!どこ行くんだよ!」
雷門サッカー部の一人、水森先輩がコートの外へ歩き出した。
「俺、辞めるよ」
「戻れ水森!……水森!!」
キャプテンの叫び声も空しく、その先輩が歩みを止める事はなかった。
「くそっこのままじゃ……皆潰される…」
焦る神童先輩に、不敵に笑う剣城。
「皆が…潰される………」
サッカーで人を傷つけるなんて、考えた事も無かった。
楽しくないサッカーなんて、想像したことも無かった。
こんなに辛そうにサッカーしてる人を見たこと無かった。
見たくも、無かった。
もう、何が何だかわからない。
頭がこんがらがっていたとき、足にボールが当たる感触がした。
「はっ?」
「やるよ」
神童先輩は呆然と立ちつくしたまま動かない。
剣城が、俺にボールを寄越して言った。
「え…」
「さぁ、来な」
その挑発的な言葉に、後はお前だけだって言うその目に、
俺の覚悟は決まった。