俺たちは走り続ける
□雷門に吹く新しい風
2ページ/3ページ
『おはようございます』
食卓に入ると、既に起きていた松風は食べ終わりそうだった。
「あっ神原さん!おはようございます!!」
「おはよう涼くん。今起こしに行こうかと思ってたところよ」
『すみません。目覚まし時計がそろそろ変え時みたいで…』
「そうなの? はいこれ。涼くんの朝ごはんとお弁当」
キッチンから出てきた秋さんに弁当と朝ごはんの乗ったお盆を渡された。
『ありがとうございます』
松風の向かいの席に着き食べ始める。
『何だかご機嫌だな』
嬉々として朝ごはんを食べる松風にそう言うと、パッと顔を輝かせた。
「今日から雷門に入れるんだと思うと嬉しくって嬉しくって!!」
「天馬ったらさっきからこの調子なのよ」
『ははっ元気でいいじゃないですか』
呆れた様子の秋さんに俺も苦笑しながら答える。
『でもま、制服似合ってるぞ』
俺がそう笑いかけると、松風は一層嬉しそうに朝ごはんの最後の一口を頬張って
「もっごーがあ」
(多分)ごちそうさま、というと食器を片付けすぐに部屋に駆け上がっていった。
「もう。忙しいわねぇ」
その様子を微笑ましそうに、少しだけ羨ましそうに見ている秋さんに、
『そうですね』
おそらく俺も、同じような顔をして言った。