俺たちは走り続ける

□始まりの出会い
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「今、話しても大丈夫?」

部屋のドアを開けるとそこには、優しそうなここの管理人・秋さんともう一人。

『はい。丁度暇してたところです。えーっと、そっちは?』


秋さんと一緒にいたのは、俺より年下くらいの男の子。


「今日着いたの。前に話した私の親戚の子で、明日から雷門に入学する…」

「松風天馬です!」

秋さんの言葉を引き継いで自己紹介をした彼は、
俺に握手を求めるように右手を差し出してきた。


『あぁ、俺は神原涼。よろしくな!』

右手を握り返すと、嬉しそうに言った。

「俺、サッカー部入部希望なんです!」
『!!』

一瞬、俺の顔が強張ったのに松風は気付いていない様子だった。


「サッカー部のマネージャーがいるって言ったら会いたいってうるさくて」

勿論、秋さんも。

「よかったら、サッカー部の話してあげてくれない?」

『も…勿論いいですよ』


にこやかな笑顔を努めつつ、どうしたもんかと思う。

「よかった。私、お茶淹れてくるわね」

『あっ はい、ありがとうございます』


階下に下りていく管理人を見送る松風に『まあ入れよ』と言う。


「わぁ!おじゃまします!」

元気いいなぁ。
思わず笑顔になってしまう。

「神原さんの部屋綺麗ですね!」

その辺に座ってくれと示したテーブルの脇に腰を下ろすなり松風は言った。

『そうか?お前の部屋と同じだと思うけど…』

「俺まだ引越しのダンボールそのままにしてるので…」

苦笑する松風に『ああ、成る程』と言うと、期待の眼差しをこちらに向けているのに気付く。


『サッカー部の話だったな』

テーブルを挟んで松風の向かいに座る。


「!! はいっ!」
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