俺たちは進み始める
□席替え
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<神原涼視点>
「今日の授業は席替えをするぞー」
話が長くなることに定評のある我らが担任が、自身の受け持つ国語の授業の最初に放ったその一言で、
クラス中は一気に騒がしくなった。
入学してからの毎日を過ごした、この窓側の一番後ろの席ともお別れか。
とても良い位置だったと思う。
毎日見ていた窓からの風景とも今日でお別れかと思うと名残惜しくて、
席替えの準備が整うまで俺はずっと窓の外を眺めていた。
『(あ、速水くん、てことは…いたいた、浜野くん)』
窓から見える校庭では、ちょうど隣のクラスが体育をしているようだった。
体育と言えば、俺たちの学年の体育を受け持つはずだった先生が3月の終わりに怪我をして入院してしまったらしく、今俺たちの体育は、他の学年を担当する先生が俺たちの学年も受け持っているらしい。
入学からの一ヶ月間の体育は、体力テストに全て費やされた。
向こうのクラスはもう体力テスト終わったのかな。
ここから見える範囲では、今から何をするところなのかわからなかった。