俺たちは進み始める

□交わる世界
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<神童拓人視点>

午前の授業が全て終わり、昼休みに入った。

開放感でざわつく教室で俺が昼飯の用意をしていると、ふいに目の前の扉が勢いよく開いた。


「失礼するぜよー!」
「錦?」
「おう、神童!」

教室に入ってきたのは錦だった。

ガラッという大きな音と錦の大声に、ざわついていた教室は静まり返っていた。


「どうしたんだ?」

錦は俺の机の前まで来ると、教室を一度見渡してから言った。


「神原涼はおるかいの?」


錦のその一言に、教室が再びざわついた。


「神原なら………あそこに」

俺の席が廊下側の一番前であるのに対して、神原の席は窓側の一番後ろ。

振り返って丁度真反対の神原の席を指差す。


「おう、いたいた。サンキューぜよ」

錦はニッと笑うと、神原の方へと駆け出した。
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