俺たちは走り続ける

□羽休め
1ページ/9ページ

『んっ………』

目が覚めるとそこは、いつもの木枯し荘の自分の部屋じゃなかった。


『!?』


飛び起きると、誰かがベッドの横に座ってベッドに突っ伏して寝ていた。

『…ヒロ兄?』

その真っ赤な髪には見覚えがあるし、この部屋だってベッドだって自分のものだ。


『何で、ここ…お日さま園…?』

そこは確かに、俺が小学生時代の大半を過ごしたお日さま園の自分の部屋だった。

ヒロ兄は起きる気配も無く規則的な寝息を立てている。


昨日、何があったんだっけ?

栄都学園との試合があって、それで………



「あ、起きた?」
『!!』

不意にドアが開いて、1人の大人が中に入ってきた。


『リュウジくん…?』

「大丈夫?具合、悪くない?」

『何で俺、ここに…』

「練習試合の後、久遠監督が監督を辞めるって聞いて過呼吸になったんだよ」

『!!そうだ、監督!』


起き上がろうとしたけど、眩暈がしてフラフラした。


「大丈夫だから!」

慌てて俺の上体を支えて、リュウジくんは優しく微笑んだ。

「無理しないで、今日は大人しくしてなよ」
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ