俺たちは走り続ける
□羽休め
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『んっ………』
目が覚めるとそこは、いつもの木枯し荘の自分の部屋じゃなかった。
『!?』
飛び起きると、誰かがベッドの横に座ってベッドに突っ伏して寝ていた。
『…ヒロ兄?』
その真っ赤な髪には見覚えがあるし、この部屋だってベッドだって自分のものだ。
『何で、ここ…お日さま園…?』
そこは確かに、俺が小学生時代の大半を過ごしたお日さま園の自分の部屋だった。
ヒロ兄は起きる気配も無く規則的な寝息を立てている。
昨日、何があったんだっけ?
栄都学園との試合があって、それで………
「あ、起きた?」
『!!』
不意にドアが開いて、1人の大人が中に入ってきた。
『リュウジくん…?』
「大丈夫?具合、悪くない?」
『何で俺、ここに…』
「練習試合の後、久遠監督が監督を辞めるって聞いて過呼吸になったんだよ」
『!!そうだ、監督!』
起き上がろうとしたけど、眩暈がしてフラフラした。
「大丈夫だから!」
慌てて俺の上体を支えて、リュウジくんは優しく微笑んだ。
「無理しないで、今日は大人しくしてなよ」