俺たちは走り続ける

□練習試合開始!
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そして、いよいよ練習試合当日。



「「「あああああーー!!!」」」

朝、天馬と一緒に部室に入った途端、西園・空野・瀬戸さんの叫び声が重なった。

「ん?」
『何、どうかした?』


皆の視線は主に天馬に注がれていて、俺も天馬を見た。

「何その顔!傷だらけじゃない!」


やっぱそれだよな。

昨日の特訓につい力が入りすぎて天馬の顔には今、湿布や絆創膏、擦り傷がたくさんの状態だった。

奥にいる2、3年の皆もこちらを気にしている。


「大丈夫、大丈夫だから!秋姉が大げさに貼っただけで、大丈夫なんだって」

そういう天馬に、瀬戸さんが近づいてきたかと思うと、天馬のほっぺに貼ってあった湿布を勢いよく剥がした。


「いってぇ!」

「なんだよ、神原にボコボコにでもされたのか?」

『「そんなわけないでしょ!!」』

ほっぺを抑えて涙目の天馬と、俺の声が重なった。


「じゃあどうしたんだよ、この傷」

「また1人で河川敷で練習してたんでしょう?」


笑いながら空野がそう言う。
口ぶりからして、よくあそこで練習しているようだ。


「だって今日の試合、先輩たちの足引っ張っちゃいけないって思ったら、いても立ってもいられなくってさ」

その天馬の言葉に、2、3年が反応したのが分かった。

いい後輩だよなぁ。


「それでそんなになるまで練習を?やっぱり頑張り屋だよ天馬って!」

西園がそう言うと、へへっと嬉しそうに笑い天馬はさらに言った。


「それに!昨日は涼さんが練習見てくれたから!」

その天馬の言葉に、再び2、3年が反応したのが分かった。

「えぇっ?!涼さんが?!」

西園が驚きの声を上げる。
そりゃそうだよな。


『あ、あぁ…まあな』

苦笑しながらも肯定すると、西園の顔が輝いた。

「涼さんってすごいんだよ!アドバイスも的確でわかりやすいし」

「えぇーいいなぁ!今度ボクにも教えてください!!」

『あ、あぁ』


奥にいる2、3年の、俺を見る目には複雑そうな思いが込められていた。
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