俺たちは走り続ける
□それぞれの選択
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旧部室へ行ってみると、どうやら俺が一番乗りだったようで
サッカー部の奴はまだ誰もいなかった。
真っ二つに割れた「サッカー部」の看板を拾い上げる。
俺たちが守り続けてきたものは、こうも簡単に崩れてしまうものなのか。
そんなことがふと頭をよぎったが、ここで感傷に浸るわけにもいかない。
ため息をひとつついて、看板をドアの横に立てかける。
『守さん……』
後に続く言葉はぐっと飲み込んで、俺は片づけをするために中へ入った。
多分だけど、神童が目を覚ましたら。
あいつのことだ、すぐにミーティングを開くだろう。
だからこそ、ここの片付けに手間を取らせるわけには行かない。