俺たちは走り続ける
□この二歩は縮まらないのか
1ページ/3ページ
『あ』
「あん?」
廊下を歩いていると、どこかの部屋から出てきた剣城とばったり出くわした。
『お前……』
ふと見ると、剣城が出てきたのは理事長室だった。
「何だよ」
不敵に笑う剣城。
『…』
こいつに聞きたいことはいくらでもある。
「睨んだって無駄だぜ?雷門サッカー部は俺が潰す」
そう言いながら、剣城は俺の目の前、2歩くらいの距離まで来た。
「なぁ、なんとか言ったらどうなんだよ」
『…お前は、サッカー部に入るのか』
俺のその問いに、剣城はニヤッとした。
「あぁ、勿論」
せせら笑う剣城。俺は込み上げてくる怒りをぐっと堪えた。
『…監督はどうなる』
俺の言葉に、剣城はさらに愉快そうな顔をした。
「排除、だな」
握った手に力が入る。
『フィフスセクターは、どうして雷門を潰そうとするんだ?』
「…喜べよ。しばらくの俺の任務は久遠の排除と化身能力者の監視だ」
『何?』
「潰すかどうかは再検討ってことだ、キャプテンさまさまだな」
でも今さっき、俺が潰すって言わなかったかコイツ…。
見ると剣城の表情は、言葉とは裏腹に潰す一択だと物語っていた。