俺たちは走り続ける

□心配事が多すぎて
1ページ/3ページ

『失礼します』

入学式も終わり、俺がやってきたのは保健室。


『神童まだいますかー…って』

先生いねぇじゃん。


「神原か?」

後ろ手に扉を閉めるとついたての奥、ベッドのほうから聞きなれた声がした。

『あぁ、そうだ。霧野だよな?』
「あぁ」

ついたての奥まで行くと、ベッドに横になり規則的な寝息をたてる神童と
脇の椅子に腰かける霧野がいた。


『神童の様子はどうだ?』
「あぁ。特に目立った傷もないし、本当に気絶してるだけみたいだ」

もうすぐ目を覚ますだろと言いつつ、霧野は俺にもうひとつの椅子を勧めた。

『そうか、よかった』


霧野の横に椅子を並べて座るとつかの間の静寂が俺たちを包んだ。

保健室の中は先生がいないからか、電気がついてなくて薄暗い。


扉を隔てた廊下の生徒の笑い声や足音が
まるで別の世界のもののように響いた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ