俺たちは走り続ける

□これが化身だ!B
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〈松風天馬視点〉

「さぁ後半戦開始です!リードされている雷門!どう出るのかぁ!?」

まさか憧れていた中学サッカーが、こんなことになっているなんて。
後半が始まった。雷門の先輩たちはもうボロボロだ。
キャプテンがボールを取りに向かうも、あっさりかわされる。

「キャプテン!」

「どうした、早くも降参か?」

「…くそおおお!!」

キャプテンは諦めずに立ち上がるけど、剣城ってやつはそれをまたかわしてゴール前へ鋭く蹴りこむ。

その圧倒的なボールは、ディフェンスの先輩たちを吹き飛ばす威力だ。
そのまま、三国先輩を巻き込んでゴールが決まった。

どうしてみんなで楽しくサッカーができないんだろう。
こんなの、サッカーがかわいそうだよ。


相手チームのボールに先輩たちが痛めつけられるのを、俺は呆然と見ていた。

これが…サッカー………?


憧れていた雷門のサッカー部。なのに、先輩たちもこんなに辛そうな顔をしてる。

せっかく大好きなサッカーなのに…。

「後半も黒の騎士団圧倒的だぁ!!」

相手だってそうだ。名門雷門中サッカー部を相手にここまで差をつけられるなんて、
よっぽどすごいはずなのに。

こんなプレイして楽しい訳ないじゃないか。

折角うまいのに、どうしてこんなプレイをするんだ?


「俺たちに勝つことなどあり得ない」

ボールを従えた剣城が、目の前のキャプテンに言い放った。

「お前達のサッカー部は終わりなんだよ!」

「…終わり……?」


キャプテンの呟きには動揺の色が見えた。
わからない。どうして楽しいサッカーを、こんなに辛そうにやるのか。

「…サッカー部は終わらない」

『松風…?』

でも、一つだけ確かなことがある。
俺は2人に近づいて、剣城に向かって言った。

「雷門サッカー部は誰にも渡さない!絶対にっ!」

そう、俺の憧れの雷門を、こんな奴らに取られるなんて嫌だ!

「じゃあ奪ってやるよっ!」
「「…っ!!」」


俺とキャプテンが息を呑むわずかな間に、剣城は他の雷門メンバーを一掃した。

「理解したか?お前が憧れている雷門は、所詮この程度だ」
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