暗殺教室

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3年E組が授業を受けている頃、烏間は理事長室にいた。


「明日から私も体育教師でE組の副担任をさせていただきます。奴の監視はもちろんですが……生徒達には技術面精神面でサポートが必要です。教員免許は持ってますのでご安心を」


理事長室から出ると、新校舎の生徒の話し声が聞こえた。


「やっば、これ以上成績落ちたらE組行きかも」

「マジか!?あそこ落ちたらほとんど絶望だぞ。学食も無い、便所も汚い隔離校舎で俺らからも先生からもクズ扱い。超いい成績出さないと戻って来れない。まさにエンドのE組!!あそこ落ちるぐらいなら死ぬな、俺」

「だよな…。あいつらみたくならないよう頑張んなきゃ」


……なるほど。
ごく少数の生徒を激しく差別する事で、大半の生徒が緊張感と優越感を持ち頑張る訳か。
合理的な仕組みの学校だし、我々としてもあの隔離校舎は極秘暗殺任務にうってつけだが、切り離された生徒達は……たまったものではないだろうな。

ただ、雪莉は楽しんでいるらしいが。……ちなみにあいつの弁当は毎朝俺が作っている。血の繋がりはないが、本当の家族みたいでこの現状に気に入っている。調子に乗りそうだから本人には言わないが……というか俺が恥ずかしい。


新校舎から1キロ離れた旧校舎に行くと、3年E組の生徒達が何やら忙しそうに動いていた。
偶然通りかかった茅野に明日から俺も教師として手伝うことを伝え、奴と雪莉を探す。


「それがさ、殺せんせ−クラスの花壇荒らしちゃったんだけど、そのおわびとしてハンディキャップ暗殺大会を開催してるの」


茅野の視線の先には、木に縄で吊るされた例の奴がぬるんぬるんと生徒達からの攻撃を避けていた。
雪莉はそれに参加せず、少し離れた場所ですやすやと眠っていた。警戒せずこうも安心して寝るとは……こいつ自分の容姿を理解しているくせに関心が無いな。ため息をはき、着ていたジャケットをソッとかけ隣に腰かけた。

……それにしても、

腰かけた場所からハンディキャップ暗殺大会をもう一度見渡す。

これはもはや暗殺と呼べるのか!!


その後、調子に乗った奴はギシギシ動き過ぎて枝が折れ、地面に落っこちてしまった。
それを逃すまいと、生徒達がすかさず攻撃する。
結局奴に攻撃は与えられず、尚且つE組の生徒達に明日出す宿題を2倍にすると、器の小さいことを言う始末。


「今までで一番惜しかったよね」

「この調子なら殺すチャンス必ず来るぜ!」

「やーん!殺せたら百億円何に使お−♪」

「俺百億円もらったら雪莉と二人暮らしするための新築の家を買いたいな!」

「あんたに雪莉君は勿体ないよ!」


中学生が嬉々として暗殺の事を語り、いけない道に目覚めつつあるこの現状。どうみても異常な空間だ。
あとお前らに雪莉は勿体無い。


「渚、どう?殺せんせ−は殺せそう?」

「殺すよ。殺す気じゃなきゃあの先生とは付き合えない」


……だが、不思議だ。生徒の顔が最も活き活きしているのは…ターゲットが担任の、このE組だ。


「あれ、雪莉寝てるの?」

「あ、本当!ね、ね、雪莉の寝顔凄く可愛くない?」

「え!?あ、う、うん……//」


茅野に潮田……こいつらは要注意だな。
雪莉に悪い虫がつかないよう気をつけなければ。
未だに眠っている彼を横抱きし、自宅に帰った。


(にゅやっ!烏間先生が雪莉君をお姫様抱っこしてます!キャー烏間先生ったら!)
(う、うるさい!何気持ち悪い声を出してんだお前は!)
(……烏間先生)
(な、なんだ潮田?)
(僕、負けませんから)
(……)

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