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□Liar
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平日の昼下がり、暑すぎず寒すぎずな丁度良い気温の中、零は窓際に近い場所に設けられた席に座り勉強をしていた




「なんや零、お前も受験勉強か?」


「うっさい、今くらいからやっとかないと後で苦労するでしょ」



桐皇学園の中にある図書室、一人黙々と勉強していた零の前に今吉が参考書やら教科書などを持って座った


いつも通り、何を考えてるか分からない能面のような笑みを浮かべながら



「午後の授業の先生達、研修会でいなくなっちゃってやることないからね」


そう、今日は先生達の研修会のために授業がなくなってしまったのである


とは言っても、ほとんどが三年生の先生達なので一年生と二年生は普段通りの授業内容が組まれている


「今吉は部活あるんじゃないの?」


「勘弁しいや、ワシやって受験生やで。勉強もせなあかんやろ」



零の言葉に苦笑を浮かべながら今吉は返した


「それに、ワシと諏佐だけおっても練習ならへんやん」



………確かに、一年生と二年生はいつも通りの授業日程が組まれているのだ


午後の授業がないのは今吉と諏佐だけ、二人では練習どころではない


良くてアップ程度だ




「零はいっつも勉強しとるからなー、ワシもそろそろ本気ならんと抜かれてまうわ」


「まさか、ホントは抜かれるなんて全然思ってないでしょ」



今までどんなに勉強したって零は今吉を抜いたことがない


どんなに頑張っても追いつけない、




隣を歩けない――――――――――――――






「ところで、零って大学どこ行こ思うとるん?」


「………教えない」



今吉と同じ大学、



なんて言えるワケないじゃん






「今吉と絶対違う学校」



ホラ、またわたしの口からはウソが溢れる



「そない嫌われてるとワシかて傷つくで…」


今吉の眼鏡は妖しく光を反射する


そうやって自分の心は覗かせてくれない


いつだってポーカーフェイスのピエロそのものだ




「バスケに熱中し過ぎて学力下がっちゃえばいいよ、その間に今吉の順位抜いてやるんだから」


「おお、恐いわー。せいぜいワシと並べるように頑張るんやな」




あなたと並びたい、



いつか隣を歩けるくらいに





あなたに伝えたい、




このどうしようもない感情を。





素直になれないわたしだから、








今はウソつきでいさせてください――――――――――
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