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□No.045〜
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「ここがダングレスト、ボクのふるさとだよ」
カロルが意気揚々と発言をする。
半日ほどかけて来たここ、ダングレストは、やはり橙色の町だった。
変わらないな…。
と、私が感傷に浸っているあいだ、ダングレストに来たことの無い残りのメンバーは、物珍しそうに建物や風景を見渡していた。
「にぎやかなとこみたいだな」
「そりゃ、帝都に次ぐ第二の都市で、ギルドが統治する街だからね」
「もっとじめじめした悪党の巣窟だと思ってたよ」
「それって、ギルドに対する偏見だよね」
カロルは少しむすっとした顔で言う。
「紅の絆傭兵団の印象が悪いせいですよ、きっと」
エステルがさりげなくフォローする。
「ボクまで悪党なのかと思ったよ」
「あんたが、悪党なら、こいつはどうなるのよ」
リタが言いながら視線をユーリの方へ向ける。
ユーリは肩を竦めて苦笑した。
「それもそうだ。さて、バルボスのことはどっから手をつけようか」
「ユニオンに顔を出すのが早くて確実だと思うよ」
「ユニオンとはギルドを束ねる集合組織で、5大ギルドによって運営されている、ですよね?」
エステルがまるで本を読むかのように語る。
「うん、それと、この街の自治も、ユニオンが取り仕切ってるんだ」
「そうだったねー」
私も適当に相槌を打って話に参加することにした。
ここで、変に黙っていては怪しまれる。
「でも、いいわけ?バルボスの紅の絆傭兵団って5大ギルドのひとつでしょ?」
「ってことはバルボスに手出したら、ユニオンも敵に回るな」
「……それは、ドンに聞いてみないとなんとも」
「そのドンってのが、ユニオンの親玉なんだな?」
「うん。5大ギルドの元首『天を射る矢』を束ねるドン・ホワイトホースだよ」
「んじゃ、そのドンに会うか。カロル、案内頼む」
「ちょっとそんな簡単に会うって……。ボクはあんまり……」
「うんうん。なかなか会わせてもらえないと思うけどね…」
ドンに会うのはあまり嬉しくない。
昔お世話になったからこそ、出来れば顔は合わせたくないのだが。
「お願いします」
エステルにこう言われちゃ、どうしようもないか。
……………