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□No.040〜044
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「続けて18番目の罪状を確認する」
「……懲りないねぇ、ユーリ君」
「うっせ。…はい、どうぞ」
「滞納された税の徴収に来た騎士を川に落としたのは間違いないな?」
「そんなこともあったな。あれ、デコだっけ?」
「そうだ!おかげで私は風邪をひいて、三日間寝込んだのであ〜る」
「……で、あといくつあんの?飽きてきたんだけど」
「……ボクはどうなっちゃうんだろう」
「反省の色はなし……と、調書に残してやるのだ」
「そういや、おまえらんとこの何もしない隊長はどうした?シュヴァーンつったっけ?」
「偉いからってサボりでしょ」
「我等が隊長を愚弄するか!シュヴァーン隊長は、10年前のあの大戦を戦い抜いた英傑だぞ」
ふーんなるほど。
何処かで聞いた名だと思ったら。
「ま、あたしらなんて小物どうでもいいってことね」
「ええ〜い!次の罪状確認をするのであ〜る」
まだこれが続くのか、と内心ため息をついていたところに、突然部屋の扉が開かれ、なんとあのアレクセイ騎士団長がクリティアらしき女と共に入ってきたのだ。
「ア、アレクセイ騎士団長閣下!どうしてこんなところに!?」
「アレクセイ……なんで」
「エステリーゼ様、ヨーデル様、両殿下のお計らいで君の罪はすべて赦免された」
「な、なんですとぉっ!こいつは帝都の平和を乱す凶悪な犯罪者で……!」
「ヨーデル様の救出並びに、エステリーゼ様の護衛、騎士団として礼を言おう」
「こちらを……」
金!
だが、ユーリは興味なさげに返す。
「そんなもん、いらねぇよ。騎士団のためにやったんじゃない」
「そうか」
「それより、エステルだが……」
「先ほど、帝都へ戻る旨、ご承諾いただいた」
「えっ!………あ、でも、お姫様なら仕方ないか」
「姫様には宿でお待ち頂いている。顔を見せてあげてほしい」
まぁ確かに仕方ないことだ。
殿下ともなれば、流石にこのまま出歩くのは危険だし、そうなると騎士団も気がきじゃないはずだ。
ああ、エステル……可愛い子だったなぁ。
しっかり、見納めないとね。
……………