□No.034〜036
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地下からようやく解放され、大きな広間に出た。

何やら大きな魔導器が置いてある。

リタの表情から察するに、これが今回の事件でのもののようだが。

小さいカロルも後ろへ倒れてしまうのではないかというほど大きなその魔導器を見上げている。


「この魔導器が例のブツ?」

「ストリムにレイトス、ロクラーにフレック……」


何かリタが呪文を唱えだしたのかと思ったが、どうやら魔導器の名前のようだ。

それほどまでに魔導器に思い入れがあるのか……?


「複数の魔導器をツギハギにして組み合わせている………。この術式なら大気に干渉して天候を操れるけど……こんな無茶な使い方して……!エフミドの丘といい、あたしよりも進んでるくせに、魔導器に愛情のカケラもない!」


リタは本当に憤慨しているようで、その魔導器を調べながら眉間に皺を寄せている。


「これで、証拠は確認出来ましたね。リタ、調べるのは後にして……」

「………もうちょっと、もうちょっと調べさせて……」

「あとでフレンにその魔導器まわしてもらえばいいだろ?さっさと有事を始めようぜ」


エステル、ユーリに促され、まだ気になるが仕方ないといった様子でリタは魔導器から離れた。


「……何か壊していいものは」


ああ、そうか。

騒動を起こさないとフレン達が入れないのか。

うっかりしていたな。


「よし。なんか知らんが、うちも手伝うのじゃ」

「お前は大人しくしてろって」

「あう?」


武器を構えたパティをユーリが抑え、その間にカロルが柱をハンマーで思いきり殴っていたが、大して響かなかった。


「あ〜っ!!もう!!」


魔導器のお預けをくらっていたリタが半ギレ状態で魔術を乱射し出した。

それを見て怯えたようにカロルが悲鳴じみた声を上げた。


「うわぁっ!いきなり何すんだよ!」

「こんくらいしてやんないと、騎士団が来にくいでしょっ!」

「でも、これはちょっと……」

「エステル。もうあきらめよう」


今のリタは唯でさえ苛ついて癇癪気味なのだ。

放っておいたほうがストレス発散にもなるだろう。


「なに、悪人をお灸で据えるには丁度いいくらいなのじゃ」

「人の屋敷でなんたる暴挙です!」


この声は。

扉の所にはあの時逃げたラゴウが傭兵を引き連れて立っていた。


「おまえたち、報酬に見合った働きをしてもらいますよ。あの者達を捕らえなさい。ただし、くれぐれもあの女を殺してはなりません!」


あの女。

そう、視線の先にはエステル。

……この子、もしかして……


「まさか、こいつらって、紅の絆傭兵団?」

「それ、もういっちょ!」

「十分だ、退くぞ!」

「何言ってんの、まだ暴れたりないわよ!」

「早く逃げねぇとフレンとご対面だ。そういう間抜けは勘弁だぜ」

「うんうん、だから早く行こうよ!早く!」


私もあまりこの場で長居したくない。

なんのためにフードを被っていると思って………


「まさか、こんなに早く来れるわけ……」


言っているそばから、下の扉からフレン達が出てきた。

なんという、バッドタイミング…











……………
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