□No.001〜005
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「……ね?」

「わかった」


結局、常人離れした私の体は、次の日になるともう痛みが消えていた。

必然的に、もうユーリの部屋をわざわざ使わなくてもよくなったので、私はかわりに隣の部屋を使わしてもらうことにした。

やっと買い物がゆっくりできる。

女将さんにお礼を言ってから、宿屋を後にする。

噴水広場の所へ出た時に、突然体に強い衝撃が走った。

うっ、腹に……

傷がまだ完全には治っていないことを再確認してしまってから、衝撃の原因を見る。

真下に、小さな子供が尻餅をついている。


「あらら、大丈夫?僕」


声をかけるとその子供は頷いた。

そして元気よく立ち上がると、私を見て何故か驚く。


「……ぅわ…!?」

「何?」


その子供、緑がかった髪をした少年の顔をよく見ると、ほんのり赤くなっている気がする。


「ご、ごめんなさいっ!」

「いいよいいよ、こっちこそごめんね〜」

「お、お姉さんってクリティア人?」

「んーん、違うよ。よく間違われるけど」

「俺、テッド!…お姉さんの名前聞いてもいい?」

「大した名前じゃないけど、 タラコ 」

「へぇ… タラコは、旅の人?」

「そうだけど」

「いつ帰っちゃうの?」

「まぁ、あと二日で帰るかな…」


そっか、と少し寂しげに少年は俯いたが、また笑顔になって聞いてきた。


「よかったら俺のとこの宿屋使ってよ!ここから下りてすぐのところだから!」


………あの宿屋か。

なんたる偶然。

どうやら可愛らしいこの少年にえらく好かれてしまったようである。

実は昨日から使ってます、と言ってしまうのも面白く無いと思い、考えとくね、とだけ返して少年の頭を撫でた。

それでも少年は満足そうに頷くと、何処かへ走って行った。

なんだか可愛い男の子だなぁ。







………
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