主
□LOOK FOR ME.
1ページ/3ページ
「土方さん。」
勤務中には絶対に呼ばない呼び方で、その名を彼の後ろで呟くように呼ぶ。
「……山崎?」
振り向いた彼の顔は、大きく目を見開いて驚いているようだった。
「どうした?何かあったのか?」
いつもより優しい顔で俺を見つめてくる。
嗚呼、やめて下さい。
俺の事、好きじゃないくせに。
そんな顔、しないで下さい。
「どうしたんだよ?退?」
俺の名前を、そんな風に呼ばないで下さい。
「……なあ、なんかあったのか?」
優しいふりなんてしないで。
俺の事、これっぽっちも大切だと思ってないんでしょう?
「………副長、最近夜出歩くようになりましたよね。」
俺に触れようとした手が動きを止める。
先程とは違う表情で彼は俺を見つめてくる。
嗚呼、貴方は正直者。
嘘なんて、つけない人。
.