鋼の錬金術師

□第22話
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「そういえば前から気になっていたんだが…左腕怪我したのか?」





ロイはクロアの包帯が巻かれた左腕をみてそう聞いた





「………はい。まあちょっと」





クロアは刺青のある左腕を少し悲しげに見ていたがロイはそれに気付かなかった





そんな話をしながらみんなの集まっている場所に行くとぼろぼろになったエドとアルがいた







「…なんで本当の二つの名黙ってたんだよ…」







クロアが来てすぐにエドがそう言うと黙ったクロアの代わりにロイが答えた





「鋼の。クロアは好きで黙っていたわけではない。大総統閣下から隠すように言われていた」





「けど…!…風葬の錬金術師なんて大佐と同じくらい有名じゃねぇか…」








エドの言う有名…




それは殲滅戦で活躍した




沢山の人を殺したということ








「俺たちがそれ聞いてお前から離れると思ったのかよ…」





「ごめん…」





「馬鹿野郎ッ!そんなことで俺たち離れねぇよ!クロアはクロアだろ!!」





怒鳴るエドに対しアルは落ち着いた様子で話しだした







「兄さんの言う通りだよ。それを知ったところで僕たちは何も変わらない」





「俺たちは…お前がす、す、好きなんだよ!!べ、別にれれ恋愛とかじゃなくだぞ!!!仲間としてだからなっ!!!!!」





「テンパり過ぎだよ」







クロアは真っ赤なエドと冷静なアルの会話を聞き終わるとくすっと笑った





「…そうだね私がもっと話をしてお互いを知ろうって言ったんだもんね。ごめん。ありがとう…」





クロアのありがとうの言葉を聞きエドもアルも嬉しそうにしていた







「さて。さっき話していたんだが鋼の達はリゼンブールに行くそうだがクロアはどうする?」




「リゼンブール…ってエドとアルの…?」




「うん」







アルがそう答えるとクロアは少し困った顔をした







「行きたいんだけど…私セントラルでやらなきゃならないことあるんだ」




「そっか…」







エドが肩を落としてそういうとクロアは微笑んだ







「いつか行くときは案内よろしくね」



































「じゃ。気をつけて」




「おう!」「うん!」





エドとアルは列車の窓から顔を覗かせてそう答えた





「あ、クロア。ノアの残した資料持っていっていいか?」





「研究資料?なんで?」





「いや…俺たちも何かしら力になりたいっつーか…暗号解くくらいなら…」





エドが照れ臭そうにそう言うとクロアは笑って鞄から資料を取り出した












「よろしく」












お礼の言葉じゃなくその言葉なのはクロアがエド達を信頼している証でもある





だからこそエド達も目を見開いた後嬉しそうに資料を受け取り列車は出発した










「青春だねぇ…俺もよぉ!」




「グレイシアさんの話はしなくていいですからね」










列車を見送りながらクロアはそうヒューズに言った





「さて、そろそろ私も行こうかな」




「あ、そうだ。クロアにもロイから伝言預かってんだった。『夜道を一人で歩くな。危ないことをするな。知らない人に着いていくな。早めに帰ってこい』だとよ」








「子供扱いすんなって伝えてください」







ヒューズ笑って頷いていた







「じゃセントラルで会えたらな」




「はい」
















また一人の旅が始まる
















「ちょっとセントラルに行ってくる。あんま行きたくねぇけどよ」




「気をつけてくださいね」





男はその言葉を聞き笑う





「がっはっは!気をつけなくたって傷一つつかねぇよ!」





























この後待ち受ける運命は















悲しく



















そして























残酷

































「夜になっちゃったか…」





列車を降り溜息をついた





とにかく泊まる所を探さなくてはいけない





『夜道を歩くな』と言われたのを思い出すと私の頭の中に二つの案が浮かんだ








歩くなというなら走ればいい


夜道というなら朝になるまで立っている








「朝になるまで立っているのは阿呆だろ…」





そう考えついた私は走って近道になっている裏道を通ることにした








しかし私は後悔する





裏道を選んだことを…


















「うえ…やだなこういう道…」





道はそこら中に香水の匂いが舞っていた





「こんな場所に餓鬼はきちゃ駄目だぞ〜あっはっは!」





「目障りだなー…」





小さく呟いたはずだったのに男の耳には届いていたようで私の腕を勢いよく掴んだ





「目障りだとぉぉお?糞餓鬼よおぉ!!」



「……」





私はその酔い潰れた男の腕を掴み返しそのまま壁に投げ飛ばした





ドカッ!!














「うん。目障り」














周りにいた人皆驚いていたが気にせずまた走り出した





しかし走り出した瞬間地下のようなところから出てきた人にぶつかってしまった







「わっ」




「おっと…餓鬼が一人でがこんなとこきたら危ないぜ?」







ぶつかった衝撃で倒れそうになった私を男の人は腕を引いて助けてくれた







「……っ餓鬼じゃない……」




「じゃあ尚更だ。ドルチェット!表まで連れてってやれ」







そう男が言うと目付き悪い男の人と綺麗な女の人が近くにきた





「ドルチェットじゃ恐がっちゃって逃げちゃうんじゃない?」



「んだと!マーテル!」


「本当のことでしょ!野良犬!」






ドルチェットという人とマーテルという人が言い争っているともう一人の男の人は言った







「それもそうだな。マーテル行ってやれ」



「グ、グリードさんまで!?」







その時グリードという名前が私の頭の中に突き刺さった











「グリー…ド…?」






「ああ…グリードってのは俺の名前だ」











そう自分を指差す左手を見て気付く











「ウロボロスの刺青…!人造人…」











言わなければ良かったと後悔した時には既にグリードの手が私の口を塞いでいた







「何で知ってるか今すぐ聞きたいがとりあえず大人しくしてもらうぜ」




「んんん!!」







仲間だと伝えたいがこれでは伝えられない…





そう思い錬金術を使かって腕から脱出しようと思ったがそれすら叶わなかった









「……っ」









多分薬を嗅がされたのだろう




急に瞼が重くなり




私は意識を手放した













「…綺麗な顔してんな。こいつ」




「何言ってるんですかグリードさん…」







そうドルチェットが言うとグリードは何も言わずクロアを抱えたまま地下に降りていった












「マーテル」





地下にたどり着くと隅にあったソファーにクロアを寝かせ、マーテルを呼んだ





「何も隠し持ってないか見てくれ」





「……クスッ…グリードさんって一応そういうところ気使うんですね。てっきり服剥ぐかと思ってました」





「しねぇよ…」





呆れながらグリードはその場を離れた















「あら、この子怪我してる…?


























…………グリードさん!!!












マーテルの声によりグリードは再び戻ってきた





「グリードさん!この子の左腕…この刺青って…!」









「………まさか……























      クロアか?」





















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