鋼の錬金術師

□第19話
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「クロアと大佐の錬金術凄かったね」








アルがそういうとエドも加えて言った






「炎の龍がみたいだったよな!どうやってんだ!?」






しかしクロアはただ「さあ」とだけ言って書類に目を落とした






「……まぁとりあえず今回の件で大佐に貸しが出来たことだし…」






そうエドはにやりと笑いながら言う






「……君に借りを作るのは気色が悪い…いいだろう何が望みだね」






ロイは溜息をつきそうエドにいった






「さっすが♪話が早いね。この近辺で生体錬成に詳しい図書館か錬金術師を紹介してくれないかな」






「今すぐかい?せっかちだな、まったく」






「俺達は一日も早く元に戻りたいの!」






そうエドが怒鳴るとロイはまた溜息をついた






「そんな焦らずお茶の一杯くらいゆっくり付き合いたまえよ」






「…野郎と茶ぁ飲んで何が楽しいんだよ…」






そうエドが不快な顔を見せるとロイはにやっと笑った











「ならクロアとお茶でもするかな」






「なっ!クロアとなら俺が…!ってなんでクロアの名前がでてくるんだよっ!!」











顔を赤らめ声のボリュームを落としてそう言ったが














「私が何?」














いつの間にか書類を捜していたクロアがエドの後ろに立っていた






「な、なんでもねぇよ…っ」






「ああ、鋼のはただ嫉妬してるだけだ」






ロイはさらりとそういうとエドの顔は見る見るうちに赤くなっていった






「ばっ!何言ってんだよ!!」






「大丈夫だ。クロアは鈍いからこのくらいじゃ鋼のの気持ちに気付かない」






エドとロイがひそひそ話すのをみてクロアは首を傾げた






しかし少し考えた後クロアは「あ、え…もしかして…」と言って顔を紅色に染めた






「お…?鈍いクロアが気付いたか」






「おい!!どうするんだよ!!」






そんなやり取りをしてるとクロアがエドに近付いた






なかなか目を合わせようとせず少し経ってからやっと口を開いた














「…私……エドが…



















エドがそれで良いと思うなら良いと思うよ。私は何も口を挟まない。寧ろ応援するよ。うん。ホント。例え同性でも愛があればなんでも乗り越えられると思うし。ていうか気付かなくてごめんね。エドが大佐のことそんな風に思ってるって知らなかったから…今度からは大佐とも距離をとって二人のこと応援するから。まぁ私がみんなで協力すればきっといい方向に行くと思う。ていうか行く。だからこれからも…」
















「待て待て待て待てぇぇえ!!!!!!!」





















エドがそれ以上聞いてたまるかとでも言うようにクロアの言葉を遮った






クロアは何のことかわからず頭の上にはてなマークを浮かばせた










「…クロア…何か勘違いしてないかい…?」








「え…?エドが大佐のこと好きで、私に嫉妬してるって話…」










「「違う!!!」」










どうしたらそんな話になるんだと二人とも嫌な顔をしていた






二人は今後こののような会話をクロアにしないよう誓うのであった






「…なんだ…女の勘が当たったと思ったのに…」







「女失格だ!!」







「…………。それはそうと大佐。生体錬成に詳しい人ならタッカーがいます」






エドを無視しそう言いクロアはロイに書類を渡しタッカーの説明をした






「クロアも行くかい?」






ロイが声をかけるがクロアは首を横に降った









「…タッカーにはあまり関わりたくない」









そういってクロアはロイの部屋から出ていった













































































「にゃー」






公園まで歩きベンチに座っていると所々から猫が集まってきた






私は一匹の黒猫を見つけ抱き上げた






「もしかして…」






黒猫を見るともしかしたらと思ってしまう











































「言っとくけど俺じゃないよ?」











「ぎゃぁぁああああ!!!!!」










耳元からの声に驚き声をあげると集まってきていた猫は一目散に逃げてった






「会いたくてきちゃった」






「エ、エンヴィー!なんでここに…!」






「今言ったよね…;会いたくなったから仕事抜け出してきたんだあ!」






私はとびっきりの笑顔を向けてそんな台詞を言ってくるエンヴィーを直視出来なかった






それにエンヴィーも気付いたようでにやりと笑って私の隣に座った






「そうだ。クロアに言っとかないていけないことがあるんだ」






「…何…?」






エンヴィーの顔が近づいてくるため必然的に私の体は後ろにのけ反っていった





















「あのね…














俺クロアのこと好きになっちゃったみたい」























「…………………へ?」

























エンヴィーの発言にぽかんとする私






今なんて言った?








「あれ…もしかして言葉じゃ伝わらない?」








ぐっとエンヴィーの顔が近くなる






「ま、ま、まま、待って!」






あと5pでお互いの唇が触れるというところでなんとか出てきた言葉がそれだった






「もしかして緊張してる…?」






「違うっ!!!!」






否定しながらも顔が赤くなっていくのが自分でもわかる















「…じゃあ今はこれだけで勘弁してあげる」














少し経ってから何が起きたかわかった









エンヴィーの唇が私の頬に触れた
















「…っ!」

















口はぱくぱくと動いているが言葉にならない


























「でも次は……














         覚悟してね?」


























にっこり






その表現がピッタリだろう






エンヴィーは”にっこり”と笑いベンチから腰を上げた






「じゃあ仕事戻ろうかな。ラストにまたなんか言われるのも嫌だし…」






「ちょ…待って…!」






歩き出すエンヴィーを呼び止めたがエンヴィーは足を止めない

























「待ってって!エンヴ…っ―――」

























その瞬間












名前を呼ぼうとして開いた口はエンヴィーの口で塞がれた











頭が真っ白になって何秒そうしていたかもわからない











ただエンヴィーが離れ必死に酸素を取り込んだ時初めて今の状況を理解した



















「――――――――…っ」



















「次は覚悟してねって言ったよね?」














満足そうにそう言うエンヴィーを見て何かが切れた












「エ…エンヴィーのばかぁぁああああ!!!!!!!変態!!セクハラ!!!ていうか一発殴らせろ!!!!」












私が右手を振るがエンヴィーはニヤリと笑って時計台に跳び移りかわされた






「ま、今日はもう仕事に戻るよっ」






「さっさと帰れ!」






エンヴィーは最後に手を振って消えた











「…ばか…っ」











鼓動が煩い








いつまでも止まない鼓動を聞きながら








エンヴィーが消えた先を眺め続けていた




















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