鋼の錬金術師

□第10話
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「クロア。父さんの言うこと聞けるか?」





「うん」











あの時父は何を言ってたんだっけ…





思い出せない




















「クロア!」





アルに呼ばれて私は目を覚ました





「着いたよ」









「うわぁ!綺麗な町」







ノエーゼ







そこが最初に訪れた町









「この町に一体何があるっていうの?」





「ノエーゼはなぜか昔から神が住む町って言われてるんだって」





アルがそういうとエドはどうでもいいような顔をして言った





「神なんて別に信じてねぇけど…」





「もし『神のような力』だとしたら…」





「賢者の石かもしれないってことか」





私がそう最後にいうとエドはにっと笑った










「とりあえず」











ぐるぐるぅぅぅぅ











「腹減った…」






「「またかよ」」













































「うめぇ!やっぱシチューはうめぇよ!!」





エドの為にシチューを食べに来た私たち





「牛乳は嫌いなくせになんでシチューは好きなんだよ」





「ホントすげぇよな!シチューを発明したやつは天才だ!」





「すげぇ」と「上手い」を連呼するエドをみて私とアルは溜息をついた









ガシャンッ!!









私達はその音のする方をみた





「す、すみません!!」





「だ、大丈夫かい!マリアちゃん!」





マリアと呼ばれたこの店の女の人が皿を落として割ってしまったらしい





それだけのことなのに近くにいた人たちみんながマリアの心配をしだした





「手は切れてない?」





私たちはその人々の様子からはっきりとマリアという人物の正体がわかった







「当たりかな?」







鎧でわからないがアルもそう言いながら笑っているようにみえた





「聞き込み調査といきますか」





エドはそういうと近くにいた人に話を聞き出すことにした









それにしてもエドはこういうときだけしか『僕』を使わない









「あの子かい?あの子は神の生まれ変わりと言われているんだ」





「傷を治してくれたり。壊れたものを直したり。それはもう神々しい…神の力だよ」





どんどんと回りの人が加わり話は膨らんでいった





「それにあの子は綺麗だ。好んでこの店に来るやつもいるくらい」





「…へぇ」





エドはそう言いながらマリアを見ていた











「兄ちゃん声かけるなら早い方がいいぜ(その気があるんだったら)」








「…そうだな(賢者の石が関係してたら他の連中に気付かれる前に…)」








「興味があるみたいだな(マリアちゃんに)」








「ああ(神の力に)」










アルと私はこの見事な話の食い違いに苦笑いするしかなかった







「マリアちゃーん!この兄ちゃんがマリアちゃんのこと好きになっちゃったってー!」





「ああ…ってちげーよ!!!!







エドは少し顔を赤らめて怒鳴った





「兄さんそうだったのー」





「なんだよエドったらーそうならそうと言ってよー」





「お前らこうなることわかってて黙ってただろ」





エドはアルと私を睨みながら言った





しかし呼んでしまったのだからこの機会を逃すわけにはいかない







「あ、あの…っ」





「いやすまん!おじさんの勘違いでな。この兄ちゃん達がマリアちゃんの力に興味があるみたいでな」







マリアは少し考えてから言った





「仕事が終わった後で良いですか…?」





「ああ」














































「すみません…」





しばらく待っていると仕事を終わらせたマリアがやってきた





「えーと…」





「私はクロア・ロード」





「俺はエドワード・エルリックだ」





「僕はアルフォンス・エルリックです」





マリアはそれを聞いて何かを思い出したようだった





「も、もしかして国家錬金術師の…!」







エドも私も有名な錬金術師だ





名前だけでわかる人も少なくはない







「じゃあ……あの石のことをお調べなんですか」





「!!」







あの石





その単語に当てはまるのは一つしかなかった







「あんた!賢者の石を持ってるのか!?」





「兄さん!」





いきなり大声を出したエドをアルが止めた





「持っているのは…私の父です」





「!」





マリアは「今は寝たきりですけど」と続けた





「父は賢者の石の元研究者です」





そうマリアが言った瞬間外で爆発音と悲鳴が聞こえた





「何!?」





外にでると遠くで火の手が上がっていた





すると町の人が一人息を切らして走って来た





「盗賊だ!マリアちゃん達も早く逃げた方がいい」





「で、でも…!」





「マリアさん!お父さんの元へ急ごう」























































「さあて賢者の石の回収ついでにクロアを捜さないとね」


















その黒い影がすぐ近くまで来ていることをまだ私たちは知らずにいた























 

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