鋼の錬金術師

□第6話
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「もうこんな時間…」





家に帰ってからお風呂に入っていただけで12時を過ぎてしまった





一人暮しを始めてから気にしなくなったのは時間と家での格好





「流石にバスタオル一枚って…ねぇ」





独り言のつもりだった







「ホントっそんな格好してると襲われるよ」







だって会話が成立したらそれは独り言じゃなくなるでしょ








「…―――――――っ!!!」









声にならない悲鳴を上げた私が見たものは





窓の縁に座っている男





エンヴィーだった









「ななななななんでいんの…!」





「窓開けっ放し」





「いやそうじゃなくて不法侵入だって言ってんの!」





エンヴィーが突然来たので急いで服を捜し着替え始めようとした








「……ねぇクロア」





「なに…」





急に呼ばれ振り返るとエンヴィーは思ったよりも近くにいた










「もしかして誘ってる?」










そう言いながらエンヴィーの顔がぐっと近づいてきた





「死ね変態!!!!」





そういったものの沸騰したように顔が熱くなるのがわかった





「ぷっ…何?本気にしてんの?」





エンヴィーはそう笑いながらベットに座った





クロアは別の部屋で着替えてからもう一度エンヴィーの元に戻って来た





「で、なんの用?」





「べっつにー。仕事終わったから寄っただけ」












「…仕事って…こないだみたいに人を殺したりするの…?私もそういう仕事を任されるの…?」












そう聞いてきたクロアにエンヴィーはきょとんとしていた





そして思い出して言った






















「あぁ。記憶がないんだっけ」




















「…え?」















エンヴィーは知ってる





記憶の一部を





私が無くした








記憶








「エンヴィーは…何を知ってるの…?」


























「…自分で真実に辿り着くほうが楽しいと思わない?」



























エンヴィーはそうニヤつきながら言った





クロアはそれがなんだか恐ろしく感じた










「まぁそんなのどうでもよくてさ。一人暮しって楽しいの?」





突然話を変えられてきょとんとしたクロアだったがその問いに答えた





「別に楽しいわけじゃないけど、本当の家には帰れないし」












クロアが住んでいるのは大佐が貸してくれている家





本当の家はまだ今だに血の跡が残っているから行かないほうがいいと大佐に言われている










「ふーん。まぁそれで隠れ家にクロアの部屋作ったからいつでも使っていいよ。どーせ此処じゃ独りでつまんないんでしょ」





エンヴィーがそういうとクロアは頬を赤め目を輝かせた










「ホントに!?いいの?」








…………………………………





なんだろう





今のクロア見たとき…













…なんでもないか











「…そんなに嬉しいの?」





「え…いや…嬉しいっていうか…」





「素直になんなよ。嬉しいの?嬉しくないの?」





するとクロアは頬を赤くして横を向きながら小さく言った









「…嬉しい…っ」









それをみてエンヴィーは面白い奴と思っていた





「じゃあ用はそれだけだから」





「あ、ありがとう…」





「初めて人間にありがとうって言われた」





そういいながらエンヴィーは入って来た窓からでていった










残されたクロアはまだ窓を見つめていた


















































目が覚めると





世界は真っ赤で





誰もいない
















「っ…!」





またこの夢…





だんだんとリアルになっていく





色も匂いも感触も






「気持ち…わる…っ」






昨日は楽しかったというのに今日は朝から最悪だ


































「大佐ぁぁぁ」





「な、なんだね」





表情が暗く不機嫌そうなクロアをみてロイは後退した







「気持ち悪い。…震えが、止まらない…っ」





「また何時もの夢か…」







クロアが頷くとそっとロイはクロアを引き寄せた










「大丈夫だ。落ち着くまで傍にいるから」










呼吸がだんだん楽になりやがて震えも止まって来た










すると突然部屋のドアが開いた









「おい!大佐!いつになっら………………」








やっぱり今日は最悪





このタイミングで人が来るなんて








「あんたあの時の…!」





「へ…?」








大佐から即座に離れて部屋に入って来た人物をみると





何時だかに図書館で出会った金髪くんだった










「なんだ君たち知り合いだったのか?」









「「は…?」」










大佐は金髪くんに指を指しながら





「鋼の錬金術師」





私を指差しながら





「風の錬金術師」











言った





































「「………えぇぇぇぇぇぇぇぇぇええええええ!!!!!!!!!!!!」」














 
 

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