鋼の錬金術師

□第5話
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「よし…鎖も切れた」





鎌鼬を人になんてあまりつかいたくなかった…





そんなことを考えながら部屋から出た





しかし廊下もその先も薄暗く出口を見つけるなど無理に近い





しかし早く此処から出なければ…










「あーあ…4回も死んだ」










それはさっきまでいた部屋からの声





「……不老不死ってわけ…」





「まぁそんな感じ」





すると私の後ろにさっきまでなかった二つの気配を感じた





「ラスト、この子食べていい?」





「駄目よグラトニー。…エンヴィーまた遊んでたの?」







色欲のラストに暴食のグラトニー







「やっだなーまたって程じゃないって…とっとと仲間にしちゃえばいいんだろ?」





エンヴィーは笑いながらそういった





「わ、私は仲間になんか…!」




















「拒否するなら殺すよ?あぁ最後まで言ってなかったっけ。





















         あんたじゃなくてあんたの最も親しい人を」





















茶化すよう言ったエンヴィーの言葉を直ぐに理解した




最も親しい人




それは








「焔の大佐」








パキパキと言う音と共にエンヴィーは姿を大佐に変えた





「…たい、さ…」





その瞬間大佐の姿をしたエンヴィーは持っていた短刀で自分の腹に刺した





「…っ!!」





私は思わず目を逸らした




演技だとしても苦しそうな顔の大佐を見るのは辛い





「…っ」





クロアはその場から逃げようとしたがあっさりと手首を掴まれた





その姿は大佐ではなく元のエンヴィーだった






「まだ嫌って言える?」














エンヴィーのその言葉にクロアは顔を伏せて小さく横に振った














































「なんで電話に出ないんだね」





「へ?」





朝、司令部にいった途端この質問





クロアは何の話だかわからないでいた





「昨日君のことを心配して電話をかけていたのに…」





「え…あ、あー昨日はちょっと寄り道しながら帰ったんで家に着くの遅かったんですよ」





そうだったのかと大佐は言ってホッとため息をついた





そんな大佐をみて胸が苦しくなった





「クロア」





「え、あ、はい!」





「大丈夫か?さっきからぼーっとしてるが」





昨日のことを思い返すだけで





頭がいっぱいだった

















































「とりあえず傷でも手当しよっか」





「別にいい…」





ホントは痛い





けど仲間になったばかりの人を信用しよにも無理がある





その時体が宙に浮いた





「うわっ!ちょっ!」





エンヴィーが私をお姫様だっこするような形で持ち上げたからだ





「どーせその足じゃ歩けないでしょ」





「い、いいって!…重いから!!」





「黙ってないと落とすよ」





私はじたばたしていた足を止めた





「いい子っ」





「むかつく…」






そうしていると奥から足音が聞こえた






「お父様!」





「お父様…?」





ラストが見た方を見るとそこに姿を現したのは長い髪の中年くらいの男だった





「…ロードの子か…!足を怪我してるのか?どれ」





いきなり現れそういうと男はクロアの足に手をあてた





「…………っ!?」





すると手をあてたところが光り足の血は止まり傷口も塞がっていった





「……な…」





声がでない




こんなことが出来るなんて





「お父様。クロアは新しい兄弟です」





ラストがそう説明すると男は「そうか」といって今度はクロアの左肩に手をあてた





また手をあてた場所が光とそこにはウロボロスの刺青が入っていた



























「ようこそ。新たな家族よ」













































「はぁ…」





なんでこうなったんだろう…





「クロア。本当に大丈夫か?」





いい加減いつもと様子が違う私に近寄った





「…今日は休むといい…」





「大佐が仕事終わるまで帰れません。今日は中尉の代わりで来たんですから」





「……………。」





大佐は引き攣った笑みを見せ渋々仕事を始めた














「クロア…」





「なんですか」





大佐はペンを止めた





「今日私の家に来n「断ります」





「な、なんでだね!」





「こっちこそなんでですか!」





すると大佐も私も黙り込んだ












「もし」












最初に沈黙を破ったのは大佐だった





「…来たくなったら来るといい」





「…じゃあ今度行きますよ。ご飯でも作りに…」










大佐は少し微笑んでいた











大佐は私にとって家族のような存在でもあった







だからエンヴィーに言うことに逆らえなかった





という理由も確かだが







人造人間は何かしら父と関係がある







そうすれば賢者の石、記憶の手掛かりに繋がるはずだ







その日まで…








   









  

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