鋼の錬金術師

□第4話
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呼び止められたクロアは男の顔を見た





「どうやって先回りしたのか、どうやって変装したか知らないですけど、あんたはさっきの人」





「…なんでわかった」





クロアはじっと男の目を見ていった







「人殺しの目」







すると男はにやっと笑いさっきまでとは全く違う口調になった





「なら話は早いね。大人しく言うことを聞けば何もしない」





男の言葉は逆に『抵抗すれば殺す』と言っているようなものだった







「…私が大人しく殺されると思わないで」







クロアが手を風を切るように振ると





ぶわっと風が舞った





「っ…!」





男が一瞬目を閉じた瞬間にクロアは素早く逃げた





しかしクロアが走りだして公園に入った瞬間





左足に激痛が走った






「ぅあっ…!!」






クロアは声を上げその場に倒れ込んだ





そして左足をみると槍のような物が突き刺さっていた







「エンヴィー…公園に追い込むだけでこんなに時間がかかるの?」







女の人の声がして左足を貫通していた槍はするっと抜けていった





「っう…!」





すると暗闇から女の人とさっきの警察官が現れた





よくみると女の人の指は長く伸びていた





「ちょっとミスっただけだよ。ラストこそ左足狙うなんて歩けなくなったらどうすんの」





警察官はそういいながらパキパキっと初めに会った長髪の男に姿を変えた





エンヴィーという男もラストという女の人も人間ではない…





「ホムンクルス…?」





そういうとエンヴィーは立ち上がろうとするクロアに近づいた









「せーかいっ」









その言葉を聞いた瞬間





クロアは腹部に痛みを感じその場に崩れた






















「だからゲストとして招待してあげるよ



   俺たちの仲間に」






















































ジリジリジリーン





いくら鳴らしても出ない





もう帰ってきてる時間だと思ったのだが…





「どうしたんですか大佐」





リザが心配してロイに声をかけた





「いや、なかなか電話に出てくれない子がいてね」





「…過保護ですね…父親にでもなったつもりですか」





呆れながらそう言うとロイは苦笑いした





「もう一緒に過ごしているわけではないのにな…」





「大佐…」





リザはそう言ったロイが少し寂しそうに見えた








コンコンッ






そこへドアのノックがした






ガチャ









「しつれーしまーす」



「失礼します」









その声の主は



金髪と鎧の兄弟だった





「大佐、中尉、こんばんは」



「おいクソ大佐。せっかく来てやったんだからお茶くらい出せよ」





行儀の良い鎧の姿をした弟アルフォンス・エルリック



ロイに文句を言いまくる金髪、金眼の兄エドワード・エルリック





「鋼の…!」





「な、なんだよ!査定にくるなら一度来いって言ったの大佐だろ!」





いきなり来たのでびっくりしていたロイはそれを聞いていつもの顔に戻った





「あ、あぁ…そうだったな。会わせたい子がいたのだが連絡がつかなくてね」





「大佐嫌われてんじゃね?」





「兄さん……。」





アルは自分の兄の態度の悪さに呆れた





「…で、どんなやつ?」












「…君の会いたがっていた風の錬金術師だ」


















































「うっ…」





私は冷たい床で目を覚ました





手足は鎖で繋がれていて暗く冷たい部屋にいた





ただタイルが敷き詰めてあるだけの部屋





あぁ…





殴られて連れて来られたんだっけ…





この鎖さえ切っちゃえば…





そう思ったとき部屋に一つしかない扉が開いた







「やっとお目覚め?」







「…嫉妬のエンヴィー」





「…ふーん。一応知識的には覚えてるんだ」





そうエンヴィーは舌打ちをしながら言った





そして私の方に近づき私と目が合う位置まで腰を降ろした





「あんたは知りすぎてる。それにノアの宝物だから」





エンヴィーの顔が近い









「俺たちの仲間にいれてやるよ」









「…!」










仲間になる?




ホムンクルスと?




それはつまり




軍の敵に…?





大佐が…敵









「…嫌だ…って言ったら?」





エンヴィーはうっすら笑い手に持っていた短刀で左足の傷口に刺した





「ぅあっ…!!くっ…!」





「いいね。その苦痛に歪む顔っ」





そう言ってエンヴィーは手に力をいれ傷口を思いきり開いた





「あああぁぁっ!!」





「仲間にならないなら殺すだけ。殺そうと思えば今すぐにでも殺せるんだけど?」





エンヴィーはそう言いながらにんまり笑っていた





「………な……よ…」





「ん?」





「あんま調子のんないでよね」





言葉を言い切った瞬間風が勢いよく部屋に吹き付け




エンヴィーの身体を切り付けた








それは





目にも留まらぬ速さ



















「鎌鼬」

















 

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