鋼の錬金術師

□第3話
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クロアはロイと買い物などをしていた





せっかく中央まできたのだから







「…あっ…」





「ペンダントか」





クロアの目に入ったのは




小さめのハートがついたシンプルなペンダント







「クロアが可愛いものに目がいくなんて珍しいな」





「なっ…!わ、私だって興味くらいはあります!」





クロアは顔を少し赤くしながら言った





しかしすぐに少し顔を曇らせ





誰にも聞こえないくらいの声で言った










「ホントは…買ってくれるはずだったのに…」










その言葉はロイにも聞こえなかった





















「あ!大佐!もう一カ所寄っていいですか?」





「あぁ大丈夫だが…」





するとクロアはロイの袖を引っ張りながら走りだした













































「まさかマスタング大佐がお守りなんてついてないわ」





「ほんっと毎回邪魔されてる」





「ラストぉ…お腹すいたぁ」





ラストと呼ばれた女はため息をつきながら言った





「グラトニー。さっき食べたでしょ」





「あんなゴミを食べたって満腹になんないでしょ」





長髪の男がそういうとグラトニーと呼ばれた太った男は首を縦に振っていた





「それより彼女を大佐がいないときに連れてくるのが先よ。まぁ今夜の仕事が終わってから、もう一度彼女を探せばいいわ」





「そーだね」





少しの間3人は黙ってクロアとロイが走っていくのを見つめていた





「失敗はないように」





ラストがそう言うと男はにやっと笑った















「このエンヴィーが失敗するとでも思ってるの?」














































買い物を終えて私は大佐と別れた





送ってこうか?と言われたが今日は一人で帰りたい気分だった





「…それにしても…だいぶ暗いなぁ…」





辺りはもう真っ暗で今更送ってもらえば良かったと後悔した





人気のしない場所を通るのは苦手だし





だからといって暗い道を何分も歩いていられない





私は小走りで人気のない近道を選んだ















だんだん進んでいくにつれて道は狭くなり人一人もいなくなっていた






分かれ道で左に曲がろうとした















「ぐわぁぁぁぁああああ」












「…っ!」





左に曲がろうとした時





右の道の方から





男の人だと思われる叫び声が聞こえた





あの時何事もなかったかのように





左に進めばよかったのに












あの匂いに引かれて右の道を進んでしまった












道を進んでいくと




コンクリートに俯せになった血まみれの男の人がいて





そしてその男の人の隣にもう一人、人が立っていた














この血の匂いが







私を呼んだ
















ハッと今の状況を思い出し





逃げることを考えた









今なら気付かれない…








後ろに一歩、二歩と下がると





足元になにかがぶつかった






ガッ






そこにあったのはビール瓶





土台になっていた箱にぶつかってしまい





乗っかっていた何本かの瓶は崩れていった













ガシャン













本当にツイてない

















「…まさかこんなとこに人が来るとは思ってなかったよ」





男は私に気付き暗闇から一歩一歩こちらへ歩いて来た





月の光りが男の顔を照らす





「まぁ一人殺すのも二人殺すのも一緒だけ…ど……」







そこで初めて目があった








男は一瞬きょとんとした顔をしていた





その隙に私は元来た道をいつの間にか走っていた












「…探す手間が省けたね」












残されたエンヴィーは不気味に笑った







































「はっ…はっ…」





クロアは1番安全そうな交番まで走って来た





人が殺されたことを言うために





「はっ…す、すみません!」





クロアが声をだすと奧から警察官が出てきた





「どうしたんですか。そんなに急いで」





「む、向こうの方で人が殺されたのを見たんです…!」





男は一瞬驚いた顔をしてから真剣な顔になり「とりあえず落ち着いて」と言い




暖かいお茶をクロアに渡した





「そこに座って待ってて」





そう男は言うといったん外へ出た





何故かその時クロアは妙な違和感を感じていた





「…なんで…」








私にくれたお茶と警察官の人の分のお茶でここに2つお茶があることになる





お茶は入れたばっかりで





私が来てから警察官の人がお茶を入れていたわけではない





私が来た時から私の分のお茶が用意されていた








何故…?








それはつまり








私が来ることがわかっていたから…?



















ガタンッ





クロアは生きよい良く椅子から立ち上がり外へ飛び出した





「どこに行くんだい?」





突っ切ろうと思ったところでクロアを警察官が呼び止めた










 

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