ポケモン文

□たりない
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ここ最近の天気はかなりおかしかった。
暑くなったり、寒くなったり。雨が降ったかと思えば次の日は恐ろしいくらい晴れ渡る。
そんな天気がここ一週間も続けば、日々の仕事で疲労困憊なグリーンが体調を崩すのも仕方ないだろう。



「………グリーン?」



そっと彼がいる部屋のドアを開ける。返事はない。
きっとまだ死んだように寝ているのだろう。
俺はゆっくりと静かにグリーンに近づき、そっと彼の首に触れる。
もちろん、熱い。
熱がまだ引いてないのだろう。呼吸は微妙に落ち着いてないし、表情も苦しそうだ。



(でも、倒れた時よりはマシになったかな…)



倒れた直後のグリーンはかなり酷かった。
高熱にうなされて眠ってばかり。時折起きたかと思うと水だけ飲んで後は何も口にしない。
病院に連れてさえも行けないのでブルーに頼んで医者を連れて来てもらった。
その時打ってもらった点滴のおかげで、グリーンがここまで落ち着いたのだと俺は思う。
ちなみに貰った薬は全然飲んでくれない。
グリーンが起きている時に俺が行かないからだ。すれ違いも甚だしい。

あ、俺がグリーンを看病してるのはたまたま俺がこっちに帰ってて、グリーンの姉さんも博士もマサラにいなかったからだ。
本当、俺が戻ってた時に倒れてくれたのが唯一の救いだな。



(そろそろ薬を飲ませないと…やばいよな。…でも冷えピタで熱は確実に下がってきてんだから…よし、冷えピタの底力を拝ませてもらおう)



そんな結論に達したので、グリーンを起こさないようにしながら冷えピタを取り替える。
頑張ってくれよ冷えピタ。
熱を下げて、何か食べれる状態にしてくれ。任したぞ。



全てを冷えピタに任せ、俺はグリーンの頬に触れる。
労るように、慈しむようにゆっくり撫でるとグリーンが身じろぎしたので慌てて手を離す。
…どうやら起きる気配はないようだ。よかった。
あまりここにいて彼を起こすような真似をしたらダメだな。
さっさと一階に降りるか。



「お前の代わりに俺が体調を崩せばよかったのにな…」



そう呟いてグリーンの頬にキスを一つ。
そして俺は部屋を出て一階に降りて行った。








「………ばーか」



だからグリーンが起きていたことなんか、俺は知らない。
彼が呟いた言葉なんか、俺には聞こえやしない。
彼が今何を考えているのかも、俺には知るよしもなかった。
















変なところで一歩引いたレッドにいらついたグリーンでした(^p^)
こういう時こそがっついた愛情が欲しいのにレッドがくれる愛情は一歩引いたものなので、グリーン的には全然足りないんです。

でも彼の心中は「絶対甘えてなんかやらない」だと思いますよ。



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